最終更新日:2026年4月1日
dodaの転職理由ランキングでは、「給与が低い・昇給が見込めない」が2021年から2025年まで5年連続で1位となっています。
さらにエン・ジャパンの2024年調査では、退職者の54%が会社に本当の退職理由を伝えていないことが明らかになりました。本音を把握できない企業は、一人あたり平均93.6万円から103.3万円の採用コストを無駄にし続けているのです。
▼本記事でわかること
- doda調査4年分のデータで見る退職理由の本音ランキングTOP5
- 「一身上の都合」に隠された退職の真実と企業の損失額
- データに基づく離職率削減の具体的施策
退職理由の本音を正確に把握することで、組織の生産性向上と採用コストの大幅削減につながります。経営者・人事担当者の方は、ぜひ最後まで読んで自社の課題を見直してください。
目次
【結論】2026年の退職理由はこうなる|直近の傾向から予測
ひとことで言えば、退職理由が「給与」の一強から、「労働時間」「評価制度」「心身の負担」を含む多極化へシフトしているのが直近4年のトレンドです。2026年は、この多極化がさらに進む年になると予測されます。
まず、直近の2025年度ランキングを確認する
2026年を予測するにはまず、最新の実績データを押さえておく必要があります。
dodaの「転職理由ランキング2025」(2024年7月〜2025年6月に転職した人が対象)のTOP5は以下の通りです。
※ dodaは「退職理由」ではなく「転職理由」という名称で調査を実施しています。本記事では、データ引用箇所では「転職理由」、一般的な文脈では「退職理由」と使い分けています。
| 2025年度の順位 | 退職理由 | 回答割合 | 前年度の順位 |
| 1位 | 給与が低い・昇給が見込めない | 30%台 | 1位(33.6%) |
| 2位 | 労働時間に不満(残業が多い/休日出勤がある) | 26.3% | 4位(20.3%) |
| 3位 | 個人の成果で評価されない | 22.8% | 18位(圏外) |
| 4位 | 肉体的または、精神的につらい | 22.2% | 12位(圏外) |
| 5位 | 会社の評価方法に不満があった | 21.8% | 7位 |
注目すべきは、2位・3位・4位がすべて前年度から大幅に順位を上げていることです。
つまり2025年度は、給与不満が1位に居座り続ける一方で、「労働時間」「評価制度」「心身の負担」への不満が一気に表面化した年だったといえます。
2025年度の傾向から読む、2026年の予測ランキング
この2025年度の結果をベースに、過去4年分のトレンドも加味して2026年を予測すると、以下のようになります。
| 2026年予測 | 退職理由 | 2025年度→2026年の見通し |
| 1位(継続) | 給与が低い・昇給が見込めない | 5年連続1位で不動。物価上昇が続く限り、名目の賃上げだけでは不満は解消されない |
| 2位(継続) | 労働時間に不満 | 2023年圏外→2024年4位→2025年2位と2年連続急上昇。残業規制が定着する2026年も上位に留まる見込み |
| 3位(上昇) | 評価制度への不満 | 「成果で評価されない」「評価方法に不満」の2項目が2025年にTOP5入り。年功序列から成果主義への移行圧力が強まり、さらに顕在化する |
| 4位(横ばい) | 人間関係が悪い・社内の雰囲気が悪い | 2025年度はTOP5から外れたが、エン・ジャパン調査では「最も会社に言えない退職理由」の1位。表面の順位低下=問題解決ではなく、潜在化しただけの可能性が高い |
| 5位(やや低下) | 肉体的・精神的につらい | 2025年に12位→4位(22.2%)へ急浮上。ハラスメント意識の高まりで一気に顕在化した反動でやや落ち着くが、TOP5圏内には残る見込み |
引用元:doda「転職理由ランキング」2022〜2025年版のトレンドをもとに筆者予測
なぜこの予測になるのか──2025年度から見える3つの変化
変化①:「労働時間の不満」が圏外から2位へ、たった2年で駆け上がった
2023年度まで10位にも入っていなかったこの項目が、2024年に4位、2025年に2位と急上昇しました。その背景と2026年の見通しについては、後述の「労働時間に不満」で詳しく解説しています。
変化②:「評価制度への不満」が2025年に突然TOP5入りした
「個人の成果で評価されない」は2024年度18位前後から、2025年度に一気に3位(22.8%)へ急浮上しました。急浮上の背景は、後述の「評価・キャリアアップへの不満」で詳しく解説しています。
変化③:「精神的につらい」が12位→4位へ。心身の健康が退職理由として定着
「肉体的または精神的につらい」は2024年度の12位から2025年度に4位(22.2%)へ大幅に上昇しました。2026年の見通しについては、後述の「ハラスメント・精神的負担」で詳しく解説しています。
ここからは、この予測の根拠となる過去4年分のデータを詳しく見ていきます。
2025年度の急変から目を離すな!2026年はその延長線上にある!
退職理由の本音ランキングTOP5【doda 4年分のデータで検証】
退職理由の本音を把握することが離職防止の第一歩です。ここではdoda(パーソルキャリア)が毎年実施している「転職理由ランキング」の2022年〜2025年のデータをもとに、退職理由の実態と推移を見ていきます。
dodaの調査は、実際に転職した20〜59歳の正社員を対象に、35項目の転職理由から該当するものを複数回答で選ぶ形式。毎年同じ設計で実施されているため、経年の傾向を比較しやすいのが特徴です。
4年分の転職理由TOP5 推移一覧
| 順位 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 |
| 1位 | 給与が低い 32.8% | 給与が低い 36.9% | 給与が低い 33.6% | 給与が低い 30%台 |
| 2位 | キャリアアップ望めない 25.2% | 社内の雰囲気が悪い 26.9% | 人間関係が悪い 22.7% | 労働時間に不満 26.3% |
| 3位 | 社内の雰囲気が悪い 23.4% | 人間関係が悪い 26.6% | 社内の雰囲気が悪い 21.1% | 成果で評価されない 22.8% |
給与が4年連続1位!でも人間関係も急上昇中!
給与が低い・昇給が見込めない|4年連続で転職理由の首位
「給与が低い・昇給が見込めない」は、dodaの転職理由ランキングで2021年から2025年まで5年連続1位の座を守っています。回答割合は2023年度に過去最高の36.9%を記録し、その後やや低下したものの、毎年30%以上を維持。
2024年の春闘では賃上げ率が33年ぶりに5%を超えましたが、物価上昇が続く中で「実質的な手取りが増えていない」と感じる層は依然として多いのが実情です。
| 年度 | 回答割合 | 備考 |
| 2022年度 | 32.8% | 2年連続1位 |
| 2023年度 | 36.9% | 過去最高を記録 |
| 2024年度 | 33.6% | やや低下も1位を維持 |
| 2025年度 | 30%台 | 5年連続1位 |
給与の市場相場チェックは必須!
人間関係が悪い・社内の雰囲気が悪い|コロナ後に急上昇した退職理由
dodaの調査では「人間関係が悪い/うまくいかない」と「社内の雰囲気が悪い」が、いずれもTOP5の常連となっています。「社内の雰囲気が悪い」はコロナ前の2020年には10位圏外でしたが、コロナ後の2022年度には3位(23.4%)、2023年度には2位(26.9%)まで上昇しました。
リモートワークの普及でコミュニケーションの量と質が低下したことが背景にあるとdodaは分析しています。
また、エン・ジャパンの別調査(2024年)では、会社に伝えなかった本当の退職理由として「人間関係が悪い」が46%で最多でした。つまり、人間関係の問題は会社に本音が伝わりにくい退職理由であり、表面の数値以上に深刻な可能性があります。
職場の人間関係は「見えない退職理由」!
労働時間に不満|2024年以降に急上昇した注目項目
「労働時間に不満(残業が多い/休日出勤がある)」は、2023年度まではTOP10圏外でしたが、2024年度に4位(20.3%)へ急浮上し、2025年度にはさらに2位(26.3%)まで上昇しました。
背景にあるのは、2024年4月に建設業・ドライバー・医師へ適用された時間外労働の上限規制です。規制が先行した一方で業務量は減らず、現場の負担感がかえって増している実態があります。
ワークライフバランスを重視する価値観の広がりも、この項目の上昇を後押しした形です。2026年はこの規制が完全に定着する年であり、業務効率化が追いつかない企業からの人材流出はさらに加速すると考えられます。
残業削減は離職防止に直結!
評価・キャリアアップへの不満|成長環境の重要性
「昇進・キャリアアップが望めない」は2022年度に2位(25.2%)を記録し、「個人の成果で評価されない」は2025年度に3位(22.8%)へ急浮上しました。
特に若手社員は「自分の仕事内容を正当に評価してほしい」という意識が強く、成果と報酬の妥当性を求める傾向が年々高まっています。スキマバイトの普及など、短時間で妥当な報酬を得る働き方が広がったことも、パフォーマンスと評価の整合性への意識を後押ししているとdodaは指摘しています。
年功序列型の評価制度を維持している企業では、2026年にこの不満がさらに膨らむ可能性があります。
成長できない環境に人は残らない!
ハラスメント・精神的負担|2023年にTOP10入りした新たな課題
dodaの2023年度調査では、「ハラスメントがあった(セクハラ・パワハラ・マタハラなど)」が10位(19.7%)に初めてランクインしました。前年度から7つ順位を上げた急上昇項目で、30〜50代の回答が多い傾向があります。
また、「肉体的または精神的につらい」も2025年度に4位(22.2%)となっており、心身の健康に関する退職理由が目立つようになっています。パワハラ防止法の施行やSNSでの告発文化の広がりにより「我慢せず辞める」意識が定着しつつあり、2026年もTOP5圏内に留まると考えられます。
ハラスメント対策は待ったなし!
「一身上の都合」に隠された退職の真実
建前の退職理由と本音の間には、企業が把握しきれないギャップが存在し、そのズレが採用コストの浪費や組織力の低下につながっています。
なぜ退職者の半数が本音を言わないのか?
エン・ジャパンの2024年調査では、退職経験者の54%が「会社に伝えなかった本当の退職理由がある」と回答しました。伝えなかった理由の1位は「話しても理解してもらえないと思ったから」(46%)、2位は「円満退社したかったから」(45%)です。
同社の2022年調査でも約4割が本音を伝えなかったと回答しており、この傾向は一貫しています。さらに2024年12月のエン転職調査(n=3,780名)でも44%が「本当の理由を伝えなかった」と回答しました。3つの調査を平均すると、約半数の退職者が本音を隠して辞めている計算になります。
| 調査 | 時期 | 本音を伝えなかった割合 |
| エン転職(n=10,432) | 2022年10月 | 約40% |
| エンゲージ(n=5,168) | 2024年7月 | 54% |
| エン転職(n=3,780) | 2024年12月 | 44% |
| 3調査の平均 | 約46% |
引用元:エン・ジャパン「退職の報告」調査
退職者の約半数が本音を隠している!
企業が見逃している退職の前兆サイン
退職には多くの場合、前兆サインが見られます。急に有給休暇を使い始めたり、業務への積極性が低下したり、会議での発言が減ったりといった変化がその兆候です。
管理職がこれらのサインを見逃すと人材の流出を防げません。上司と部下が定期的に話す1on1ミーティング(1対1面談)を設けたり、従業員の満足度調査を実施したりして早期発見に努めることが欠かせないのです。
小さな変化を見逃さないで!
面接で確認すべき退職理由の整合性
中途採用の面接では、退職理由の整合性を確認することが欠かせません。前職の退職理由と応募者のキャリアビジョンに矛盾がないか、丁寧にチェックしてください。
dodaのデータでは「給与が低い」が最多の転職理由ですが、給与を理由に退職したと言いながら給与条件が前職と変わらない場合は、別の理由がある可能性も考えられます。深掘りした質問により本当の退職理由を見極めることで、自社でも同じ問題が起こらないか判断できるのです。
面接で本音を引き出す力が大事!
退職理由から導く離職防止の施策
退職理由の分析は、離職防止の具体的な施策につながります。従業員を「顧客」として捉え、ニーズや不満を分析すれば効果的な打ち手が見えてくるのです。
dodaデータが示す経年トレンドと対策の方向性
dodaの4年分のデータから、退職理由のトレンドは以下のように変化しています。
| トレンド | 対応する施策 |
| 給与不満が恒常的に1位(毎年30%超) | 市場相場に基づく報酬体系の定期見直し |
| 人間関係・職場環境が2022年以降に急上昇 | コミュニケーション施策・1on1ミーティングの充実 |
| 労働時間不満が2024年以降に急上昇 | 業務量の適正化・残業削減の実効性確保 |
| 評価制度への不満が2025年に急浮上 | 成果と報酬の連動性を高める評価制度改革 |
| ハラスメントが2023年にTOP10入り | ハラスメント研修・相談窓口の実効化 |
社員の声をデータで分析!
従業員エンゲージメント向上施策の設計法
従業員エンゲージメント(仕事や会社に対する愛着・貢献意欲)の向上は、離職防止の核心です。定期的なアンケートで従業員の満足度を可視化し、1on1ミーティングの充実やキャリア面談に取り組むとよいでしょう。
評価制度の透明化も、エンゲージメント向上には欠かせません。
dodaのデータが示す通り、給与・人間関係・労働時間・評価制度の4領域が退職理由の大半を占めています。この4領域を重点的にモニタリングし、部署別・年代別に分析すれば、ピンポイントな施策が可能になるのです。
エンゲージメント向上が離職を防ぐ!
データを使った人事施策の立て方
データを使った人事施策とは、感覚ではなく数値をもとに意思決定を行うことです。離職率や在籍年数、部署別の退職者数などを定期的に分析し、どの部署でどの年代にどんな理由での退職が多いかを把握することでピンポイントな施策が可能になります。
たとえば若手社員の離職が多い部署には、先輩社員が相談役として伴走するメンター制度を導入するなど、データをもとにした対策で効率的に離職率を下げられるのです。
データに基づく対策が最も効率的!
まとめ|退職理由の分析が組織力を高める
退職理由の本音を把握し、適切な対策を講じることで離職率の改善が期待できます。
▼この記事のまとめ
- dodaの4年分のデータで「給与が低い・昇給が見込めない」が一貫して転職理由の1位(毎年30%以上)
- 人間関係・労働時間・評価制度の不満はコロナ後に急上昇しており、企業は複合的な対策が必要
- エン・ジャパンの調査では退職者の約半数が本音を伝えておらず、特に人間関係は企業に最も伝わりにくい退職理由
- 一人あたりの採用コストは93.6万円〜103.3万円にのぼり、離職は大きな損失
退職理由の分析は単なるコスト削減ではなく、強い組織づくりへの投資です。今日から自社の離職率データを見直し、従業員の声に耳を傾けてください。
自社の離職状況の分析や、従業員エンゲージメント向上の施策設計にお悩みの場合は、ぜひ一度ご相談ください。弊社では、採用・定着支援のための戦略設計から実行支援、効果測定まで一貫してサポートしております。