「マーケティング施策の効果を数値で示したいけど、どの指標を追えばいいのか分からない…」
そんな声は少なくありません。
実は、マーケティングKPIの設定方法を間違えると、施策の効果測定ができないだけでなく、営業部門との連携不足や予算配分の最適化にも影響を及ぼします。
▼今回の記事でわかることは・・・
- KPIとKGIの違いと正しい関係性の理解
- 5ステップで進めるマーケティングKPIの設定手順
- 認知拡大・リード獲得・売上フェーズ別のKPI指標例
本記事では、マーケティング担当者が成果を出すために押さえるべきKPI設定の手順と目的別の具体的な指標例を分かりやすく解説します。
費用対効果の高いマーケティング施策をご提案しております。
目次
マーケティングKPIとは?KGIとの違いと役割
マーケティングKPIを正しく設定するには、まずKPIの定義とKGIとの関係性を理解することが欠かせません。
ここでは、KPIの基本的な役割から、なぜマーケティング活動においてKPI設定が重要なのかを解説します。
KPIは目標達成の進捗を測る中間指標
KPI(Key Performance Indicator) とは、最終目標に向かって適切に行動できているかを確認するための中間指標です。
日本語では「重要業績評価指標」と訳され、目標達成までのプロセスを数値で可視化する役割を担います。
たとえば、売上目標を達成するために「月間リード獲得数100件」「商談化率20%」といった具体的な数値をKPIとして設定するのです。
KPIを設定することで、施策が正しい方向に進んでいるかを定量的に判断できるようになります。
KGIとKPIの関係性を正しく理解する
KGI(Key Goal Indicator) は最終的に達成すべきゴールを示す指標であり、KPIはそのKGIを達成するためのプロセス指標という関係にあります。
BtoBマーケティングでは「売上」「受注件数」「利益」などがKGIとして設定されることが一般的です。
KGIから逆算してKPIを設定することで、最終目標と日々の活動が一貫性を持つようになります。
| 指標 | 役割 | 具体例 |
| KGI | 最終目標 | 年間売上1億円、受注件数60件 |
| KPI | 中間指標 | 月間リード数500件、商談化率20% |
この関係性を理解せずにKPIだけを追うと、最終目標から乖離した施策を続けてしまうリスクがあるため注意が必要です。
マーケティングKPIが重要な3つの理由
マーケティング活動においてKPI設定が重要視される理由は、主に3つあります。
▼マーケティングKPIが重要な理由
- 施策効果の客観的評価:数値で進捗を把握し、データに基づいた意思決定が可能になる
- 営業部門との連携強化:リード数や商談化率など共通指標で同じ目標に向かえる
- PDCAサイクルの効率化:定期的なモニタリングと改善で成果につなげられる
KPIを定期的にモニタリングし、未達の場合は原因を分析して改善策を講じるというサイクルを高速で回すことが、成果につながる鍵となります。
マーケティングKPIの設定手順|5ステップで解説
マーケティングKPIは闘雲に設定するのではなく、正しい手順で進めることが成果への近道です。
ここでは、KGIの明確化からSMARTの法則を活用した数値目標の設定まで、実践的な5ステップを解説します。
ステップ1:KGI(最終目標)を明確にする
KPI設定の第一歩は、KGI(最終目標) を具体的な数値で定めることです。
「売上を伸ばしたい」という曖昧な目標ではなく、「年間売上1億円」「四半期で受注件数15件」のように定量化することが重要となります。
KGIが曖昧なままKPIを設定すると、施策の方向性がぶれてしまい、最終的な成果につながりません。
まずは経営目標や事業計画と連動した、明確なKGIを設定することから始めましょう。
ステップ2:KPIツリーで指標を分解する
KGIを設定したら、KPIツリーを使って目標を構成要素に分解していきます。
KPIツリーとは、KGIを頂点として達成に必要なKPIをツリー状に整理した図のことです。
たとえば「受注件数60件」というKGIに対して、以下のように分解できます。
リード獲得数2,500件 → 商談数500件 → 案件化数200件 → 受注件数60件(KGI)
商談化率20%、案件化率40%、受注率30%といった自社の実績データをもとに逆算することで、各プロセスで達成すべき数値が明確になります。
このようにゴールから逆算することで、抜け漏れのないKPI設定が可能となります。
ステップ3:SMARTの法則で数値目標を設定
KPIの数値目標を設定する際は、SMARTの法則に沿って検証することが効果的です。
SMARTとは、目標設定に必要な5つの要素の頭文字を取ったフレームワークを指します。
| 要素 | 意味 | チェックポイント |
| S(Specific) | 具体的 | 誰が見ても明確な目標か |
| M(Measurable) | 測定可能 | 数値で進捗を測れるか |
| A(Achievable) | 達成可能 | 現実的にチャレンジできる範囲か |
| R(Relevant) | 関連性 | KGIや事業目標と連動しているか |
| T(Time-bound) | 期限明確 | 達成期限が設定されているか |
「月間リード獲得数を増やす」ではなく「3か月後までに月間リード獲得数を300件にする」というように、SMARTを満たした目標設定を心がけましょう。
達成が困難すぎる目標や簡単すぎる目標は、チームのモチベーション低下を招くため注意が必要です。
マーケティングKPIの指標例|目的別に紹介
マーケティングKPIは、施策の目的やフェーズによって設定すべき指標が異なります。
ここでは、認知拡大・リード獲得・顧客獲得という3つのフェーズ別に、具体的なKPI指標例を紹介します。
認知拡大フェーズのKPI指標例
認知拡大フェーズでは、自社の商品・サービスを多くのターゲットに知ってもらうことが目的となります。
このフェーズでは、接点の「量」を測る指標をKPIに設定することが効果的です。
| 指標 | 概要 |
| PV数 | Webサイトのページ閲覧回数 |
| UU数 | サイトを訪問したユニークユーザー数 |
| インプレッション数 | 広告やコンテンツが表示された回数 |
| リーチ数 | 広告を閲覧したユーザー数 |
| SNSフォロワー数 | 各SNSアカウントのフォロワー数 |
| 検索順位 | 狙ったキーワードでの検索結果順位 |
オウンドメディア立ち上げ初期は、まずコンテンツ作成数をKPIに置き、ある程度蓄積されたらPV数やUU数に切り替えるという段階的な設定が有効でしょう。
リード獲得フェーズのKPI指標例
リード獲得フェーズでは、見込み顧客の情報を取得し、営業活動につなげることが目的です。
認知から一歩進んで、具体的なアクションを測る指標をKPIとして設定します。
| 指標 | 概要 |
| CV数 | 資料請求・問い合わせなどの獲得件数 |
| CVR | 訪問者数に対するコンバージョン率 |
| リード獲得数 | 獲得した見込み顧客の総数 |
| CPL | リード1件あたりの獲得コスト |
| MQL数 | マーケティング部門が認定した有望リード数 |
| メルマガ登録数 | メールマガジンの新規登録者数 |
BtoBマーケティングでは、リードの「数」だけでなく「質」も重要となります。
MQL(Marketing Qualified Lead) のように、一定の基準を満たした有望リードを指標に含めることで、営業部門との連携もスムーズになるでしょう。
顧客獲得・売上フェーズのKPI指標例
顧客獲得・売上フェーズでは、リードを商談・受注へとつなげ、最終的な売上に貢献することが目的です。
営業活動との連携を意識した指標をKPIに設定することがポイントとなります。
| 指標 | 概要 |
| 商談数 | 営業が実施した商談の件数 |
| 商談化率 | リードから商談に至った割合 |
| SQL数 | 営業部門が認定した有望リード数 |
| 案件化率 | 商談から案件化した割合 |
| 受注率 | 案件から受注に至った割合 |
| CAC | 顧客1件あたりの獲得コスト |
| LTV | 顧客生涯価値 |
BtoBでは成約までのリードタイムが長いため、受注だけをKPIにすると迅速な判断が難しくなります。
商談数や商談獲得単価を主要指標に設定することで、マーケティングと営業の連携がしやすく、判断のスピードと精度を両立できるのです。
成果に直結するKPIを選ぶ3つのポイント
KPIは設定すれば終わりではなく、実際に成果につなげるための運用が欠かせません。
ここでは、マーケティングKPIを売上に直結させるために押さえるべき3つのポイントを解説します。
営業部門と連携できる指標を選ぶ
マーケティングKPIは、営業部門と共通認識を持てる指標を選ぶことが重要です。
マーケティングがリード数だけを追い、営業が受注だけを追う状態では、部門間の連携が取れず成果につながりにくくなります。
効果的な連携のためには、以下のような指標を両部門で共有することが有効でしょう。
▼営業連携に有効な共有指標
- 商談数:マーケティングから営業への引き渡し件数
- 商談化率:リードが商談に至る割合
- SQL数:営業が「アプローチに値する」と認定したリード数
これらの指標を共有することで、マーケティング活動の成果が営業成果にどう貢献しているかを可視化できます。
部門間のシナジー効果が生まれ、組織全体の効率が向上するのです。
自社でコントロール可能な指標に絞る
KPIは、自社の施策で改善・コントロールできる指標を選ぶことがポイントです。
外部要因に左右されやすい指標をKPIに設定すると、施策の効果を正しく評価できなくなってしまいます。
たとえば「業界全体の市場規模」や「競合の動向」は自社ではコントロールできません。
一方で「Webサイトへの流入数」「CVR」「リード獲得単価」などは、施策の改善によって数値を動かすことが可能です。
またKPIの数が多すぎると管理が煩雑になり、かえって業務効率が低下してしまいます。
特に重要な指標を4〜5個程度に絞って設定することで、集中的に改善に取り組めるでしょう。
定期的に見直し改善できる仕組みを作る
設定したKPIは、定期的にモニタリングし、必要に応じて見直す仕組みを構築することが大切です。
ビジネス環境や市場条件は常に変化するため、一度設定したKPIが最適であり続けるとは限りません。
効果的な見直しには、PDCAサイクルの活用が有効となります。
▼PDCAサイクルの活用例
- Plan:KPIと目標数値を設定
- Do:施策を実行
- Check:進捗状況と達成度を評価
- Act:評価結果をもとに施策を改善
週次や月次でKPIの進捗を確認し、目標に対して乖離がある場合は原因を分析して改善策を講じましょう。
このサイクルを継続的に回すことで、マーケティング活動の精度が高まり、成果につながりやすくなります。
マーケティングKPIは売上につなげる設計が成功の鍵
「どの指標を追えばいいか分からない」「施策の効果が見えにくい」という課題は、適切なマーケティングKPIの設定で解決できます。
重要なのは、KGIから逆算してKPIを設計し、営業部門と連携できる指標を選ぶことです。
認知・リード獲得・売上といったフェーズごとに最適な指標を設定し、PDCAサイクルを回しながら継続的に改善することで、マーケティング活動は確実に成果へとつながります。
マーケティングKPIの設計や運用でお悩みの企業様は、ぜひ一度ご相談ください。