飲食店の開業は、コンセプト設計から資金準備・資格取得・物件選びを進め、半年〜1年ほどかけて準備するのが一般的です。これから開業する人でも、本記事の8つのステップを順に踏むことで、計画的に開業を目指せます。
▼本記事でわかること
- 開業までの8ステップと準備期間
- 開業に必要な資金と資格・許可
- 開業後に客を呼ぶための準備
この記事では、開業までの流れを8ステップで整理し、つまずきやすい資金・資格の準備から開業後の集客までを具体的に解説します。
目次
飲食店開業の方法|開業までの8ステップと準備期間
飲食店開業の方法は、大きく8つのステップに分かれます。まずは全体の流れと、各ステップにかかる時期の目安をつかんでおきましょう。
飲食店開業の8ステップと準備期間の目安
飲食店を開業するには、コンセプト設計から開店準備まで、順番に進めたい8つのステップがあります。準備期間はおよそ半年から1年が目安で、物件探しや内装工事に時間がかかるため、早めの逆算が欠かせません。
下の表で全体像をつかんでから、各ステップを順に見ていきましょう。
▼飲食店開業の8ステップ
| ステップ | 内容 | 時期の目安 |
| 1 | お店のコンセプトを固める | 〜1年前 |
| 2 | 事業計画書を作成する | 1年〜6か月前 |
| 3 | 店舗物件を探す | 6〜3か月前 |
| 4 | 開業資金を調達する | 3〜2か月前 |
| 5 | 内装工事と厨房設備を整える | 3〜2か月前 |
| 6 | メニューと仕入れ先を決める | 3か月前〜 |
| 7 | 資格を取得し届出を行う | 1か月前〜 |
| 8 | スタッフ採用と開店前の最終準備 | 2か月前〜開店 |
まずは全体の流れをつかもう!
ステップ1:お店のコンセプトを固める
最初のステップは、お店のコンセプトを固めることです。コンセプトとは「誰に・何を・どんな価値で届けるか」という店の方向性を指します。
物件選びやメニュー、価格設定すべての土台になるため、「いつ・どこで・誰に・何を・なぜ・どのように・いくらで」の視点で具体的に固めましょう。
コンセプトが全ての出発点!
ステップ2:事業計画書を作成する
固めたコンセプトを、数字を伴った事業計画書に落とし込みましょう。事業計画書とは、収支の見通しや資金計画をまとめた書類のことで、金融機関から融資を受けるときに必ず求められます。
売上が好調な場合と低調な場合の両方を想定しておくと、計画の説得力が高まるでしょう。
▼事業計画書に盛り込む主な項目
- 店舗のコンセプトとターゲット
- メニュー構成と価格設定
- 内外装や設備の計画
- 売上と経費の収支計画
- 資金計画と返済の見通し
融資の通りやすさが変わる!
ステップ3:店舗物件を探す
店舗物件は、売上を大きく左右する要素です。候補のエリアには実際に足を運び、人通りや競合店の状況を確認しましょう。
物件には、設備が残った「居抜き物件」と、内装のない「スケルトン物件」の2種類があり、費用と自由度に違いがあります。
▼居抜き物件とスケルトン物件の違い
| 項目 | 居抜き物件 | スケルトン物件 |
| 初期費用 | 抑えやすい | 高くなりやすい |
| 工事期間 | 短め | 長め |
| レイアウトの自由度 | 低い | 高い |
| 向いている人 | 費用と時間を抑えたい人 | 内装にこだわりたい人 |
物件は必ず現地で確かめて!
ステップ4:開業資金を調達する
物件と事業計画が固まったら、いよいよ開業資金の準備です。自己資金だけでまかなうのは難しいため、多くの人は自己資金と融資を組み合わせて用意します。
具体的な費用の目安や調達方法は、次の章で詳しく見ていきましょう。
資金は自己資金+融資が基本!
ステップ5:内装工事と厨房設備を整える
物件の契約後は、内装工事と厨房設備の準備に入ります。ここで注意したいのが、保健所の営業許可には設備の基準があることです。
基準を満たさないまま工事を進めると、許可が下りない事態になりかねません。工事の着工前に、図面を持って保健所へ相談しておくと安心です。
着工前に保健所へ相談を!
ステップ6:メニューと仕入れ先を決める
内装工事と並行して進めたいのが、メニュー開発と仕入れ先の選定です。メニューの価格は、食材の原価率や近隣店の価格を踏まえて設定すると、利益を確保しやすくなります。
安定して同じ品質の料理を出すには、信頼できる仕入れ先の確保も欠かせません。複数の業者を比較したうえで選びましょう。
原価率を見て価格を決めよう!
ステップ7:資格を取得し届出を行う
開店が近づいたら、必要な資格の取得と各種届出を行います。飲食店の営業には、食品衛生責任者などの資格と、保健所への営業許可が欠かせません。
提出先や期限はそれぞれ異なるため、早めの準備が必要です。必要な資格と届出の詳細は、後の章でまとめて解説します。
届出は提出先ごとに早めに!
ステップ8:スタッフ採用と開店前の最終準備
最後のステップは、スタッフの採用と開店前の最終準備です。求人を出して必要な人数を確保し、開店前には接客や調理の研修を行いましょう。
あわせて知人を招いたプレオープンを実施すると、本番前に料理提供の流れや課題を確認できます。気づいた点を直してから、万全の状態で開店日を迎えてください。
プレオープンで本番前に総点検!
飲食店開業にかかる資金の目安と調達方法
飲食店開業でとくにつまずきやすいのが資金です。費用の目安と内訳、自己資金の準備、調達方法の順に整理すれば、無理のない計画を立てられます。
飲食店開業にかかる費用の目安と内訳
開業費用は店舗の規模や業態によって変わりますが、一つの目安があります。日本政策金融公庫の調査では、全業種の開業費用は平均975万円、中央値は600万円でした。
飲食店は内外装工事や厨房設備の費用がかさみやすいため、1,000万円前後を見込んでおくと安心です。主な内訳を見てみましょう。
▼開業費用の主な内訳
- 物件取得費(保証金・礼金・前家賃など)
- 内外装の工事費
- 厨房機器・設備費
- 食器やレジなどの備品費
- 開業後に備える運転資金
※出典:日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」
まずは1,000万円前後を目安に!
開業時に用意したい自己資金の割合
開業資金は、自己資金と融資を組み合わせて用意するのが一般的です。同じ調査では、開業時の資金調達額のうち自己資金は平均で約23%を占めていました。
融資の審査では計画性が見られるため、目安として総額の2〜3割ほどの自己資金があると、審査で有利に働きやすくなります。
※出典:日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」
自己資金は総額の2〜3割が目安!
飲食店開業で使える主な資金調達方法
自己資金で足りない分は、外部からの調達を検討します。代表的なのが日本政策金融公庫の融資で、創業時でも比較的利用しやすい制度です。
返済不要の補助金や助成金もありますが、募集の時期や条件は限られています。
▼主な資金調達方法
- 日本政策金融公庫の創業向け融資
- 自治体と金融機関による制度融資
- 国や自治体の補助金・助成金
- 親族や知人からの借り入れ
まずは公庫の融資を検討!
開業後に備える運転資金の考え方
開業資金とあわせて準備したいのが、運転資金です。運転資金とは、家賃や仕入れ、人件費など毎月かかるお金のことを指します。
開業直後から売上が安定するとは限らないため、最低でも半年分の運転資金を確保しておくと、資金切れのリスクを抑えられるでしょう。
運転資金は半年分を確保!
飲食店開業に必要な資格・許可・届出
飲食店の開業には、必須の資格と保健所の許可、複数の届出が欠かせません。何がどこに必要かを早めに把握すれば、開業直前に慌てずに済みます。
必ず必要な資格「食品衛生責任者」
飲食店を営業するには、店舗ごとに食品衛生責任者を1名置くことが食品衛生法で義務づけられています。食品衛生責任者とは、店内の衛生管理を担う責任者のことです。
資格は各都道府県で開かれる講習を受ければ取得でき、調理師や栄養士の資格があれば講習は免除されます。講習は予約が埋まりやすいため、早めに申し込みましょう。
食品衛生責任者は全店で必須!
収容人数30名以上で必要な「防火管理者」
店舗の収容人数が30名以上になる場合は、防火管理者の選任が必要です。この収容人数には、お客さまだけでなく従業員も含めて数えます。
防火管理者は、消防計画の作成や避難訓練など、店舗の防火管理を担う責任者です。資格は消防署などが開く講習で取得でき、多くの飲食店は乙種で対応できます。
30名以上の店は防火管理者を!
保健所に申請する「飲食店営業許可」
飲食店を営業するには、店舗を管轄する保健所から飲食店営業許可を受けなければなりません。許可を得るには、保健所の担当者による店舗の実地検査を通る必要があります。
検査ではシンクの数や手洗い設備など施設の基準が確認されるため、内装工事の前に保健所へ相談しておくと、工事のやり直しを防げるでしょう。
営業許可は工事前の相談がカギ!
開業前に提出する主な届出の一覧
資格や許可のほかにも、開業の前後に提出する届出があります。営業の形態によって必要なものが変わるため、自分の店に該当するものを確認しておきましょう。
最新の要件は、管轄の保健所や消防署、税務署へ事前に確認すると確実です。
▼飲食店開業に関わる主な届出
| 届出 | 提出先 | 対象 |
| 防火管理者選任届 | 消防署 | 収容人数30名以上の店舗 |
| 火を使用する設備等の設置届 | 消防署 | 火を使う設備を置く場合 |
| 個人事業の開業届 | 税務署 | 個人で開業する場合 |
| 深夜酒類提供飲食店営業開始届出書 | 警察署 | 深夜0時以降に酒類を提供する場合 |
届出は提出先ごとに確認を!
開業後に『お客が来ない』を防ぐ集客準備のはじめ方
飲食店開業はゴールではなく、スタートです。開業後に客足が伸びず苦戦する店は少なくないため、準備の段階から集客の土台をつくっておきましょう。
開業者の約半数が「集客」でつまずく現実
開業準備というと資金や資格に意識が向きがちですが、見落としやすいのが集客です。日本政策金融公庫の調査では、開業時に苦労したこととして「顧客・販路の開拓」を挙げた人は約半数(49.9%)にのぼりました。
開業後に現在苦労していることでも「顧客・販路の開拓」が最も多くなっています。良い店をつくるだけでなく、知ってもらう準備が欠かせません。
※出典:日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」
集客はみんながつまずく壁!
飲食店の集客は検索で見つけてもらう仕組みが重要!
いまや飲食店選びは、スマホ検索から始まるのが当たり前。お客さんは「渋谷 ランチ」「池袋 居酒屋」のように、エリア名とジャンルで店を検索します。
このとき検索結果やGoogleマップに店が出てこなければ、候補にすら入りません。検索で見つけてもらう状態をつくるSEO(検索結果で上位に表示させる対策)は、広告費をかけ続けずに新規客を集める土台になります。
検索に出ない店は選ばれない!
開業準備と並行して進める集客の土台づくり
集客の準備は、開店してから始めるのでは遅れがちです。店舗づくりと並行して、お客さまに見つけてもらう仕組みを整えておきましょう。
検索やSNSで店の情報に出会える状態をつくっておけば、開店初日からの集客につながります。
▼開業準備と並行して整えたい集客の土台
- お店のWebサイトやSNSアカウントの開設
- Googleマップへの店舗情報の登録
- 検索で見つけてもらうための情報発信
- 開店を知らせるプレスリリースの準備
開店前から見つかる店にしよう!
開業前から発信を始めるメリット
WebサイトやSNSでの発信は、早く始めるほど効果が出ます。検索エンジンに評価されて検索結果に表示されるまでには、一定の時間がかかるでしょう。
開店前から情報を発信しておけば、オープン初日から検索経由の来店につながります。広告費をかけ続けなくても集客できる仕組みは、こうした準備の積み重ねでつくられるもの。
とはいえ、開業準備と並行して、SEOまで含めた集客の仕組みを一人で整えるのは簡単ではありません。検索結果やGoogleマップで上位に表示させ、Webサイトを来店につなげるのは、専門知識と継続的な手間のかかる作業。
メグサポは、SEOを軸に、広告費をかけずに集客できる仕組みづくりを支援するサービスです。開業準備の段階から、検索で客足をつくる土台づくりを一緒に始めてみませんか。
よくある質問|飲食店開業で気になる疑問
飲食店の開業届はいつ提出すればいい?
個人で飲食店を開業する場合、税務署へ開業届を提出します。提出の期限は、事業を始めた日から1か月以内が原則です。
あわせて青色申告承認申請書を出すと、確定申告で控除を受けられるため、開業届と同時に提出しておくとよいでしょう。
飲食店開業の相談は誰にすればいい?
開業の相談先は、相談したい内容によって変わります。資金や融資なら日本政策金融公庫や商工会議所、税務や会計なら税理士が頼りになるでしょう。
集客やWeb面の準備は、専門の支援サービスに相談すると、開業後の客足づくりまで見据えた準備を進められます。
飲食店開業に年齢制限はある?
飲食店の開業そのものに年齢制限はありません。未成年でも、保護者の同意などの条件を満たせば開業できます。
ただし、深夜0時以降に酒類を提供する営業など、一部の形態には年齢の要件が定められている場合があるため、事前の確認が必要です。
まとめ|8ステップで飲食店開業の第一歩を踏み出そう
飲食店開業の方法は、8つのステップに沿って進めれば、未経験からでも着実に形にできます。
▼この記事のまとめ
- 開業準備は半年〜1年、8ステップで逆算して進める
- 開業費用は1,000万円前後、自己資金は2〜3割が目安
- 食品衛生責任者や営業許可など、資格・届出は早めに準備する
- 開業者の約半数が集客で苦労する。SEOなど検索集客の対策を早めに始める
ここまで、開業の手順と資金・資格の準備を見てきました。ただ、準備が整っても、お客さまに来てもらえなければお店は続きません。
実際、開業後に最も多くの人が苦労しているのが集客です。お店の魅力を知ってもらう仕組みがないままでは、せっかくの開業が空回りしかねません。
メグサポは、広告費に頼らず検索やWebから集客できる仕組みづくりを支援するサービスです。開業準備と並行して相談すれば、開店初日から客足をつくる土台を整えられます。