目次
カスタマージャーニー設計のメリット・デメリット
カスタマージャーニーを導入する前に、メリットとデメリットの両面を把握しておくことが重要です。
| メリット | デメリット |
| 営業課題がどこにあるか一目で分かる | 作成に時間とリソースがかかる |
| 部署間で顧客理解を統一できる | 定期的な更新が必要 |
| 施策の優先順位が明確になる | 思い込みで作ると実態と乖離する |
| 顧客の心理に合わせたアプローチが可能 | 複雑にしすぎると運用されない |
デメリットを最小限に抑えるには、作成前の準備が鍵となります。
▼今回の記事でわかることは・・・
- カスタマージャーニーの基本構成とBtoB企業で注目される理由
- マップ作成前に確認すべき3つの重要ポイント
- 課題別の具体的な改善施策と契約につながる導線設計
本記事では、カスタマージャーニー設計の基本からマップ作成手順、課題別の改善施策までを具体例とともに解説します。
マーケティングや営業施策でお悩みの企業様は、ぜひ一度ご相談ください。
弊社では、費用対効果の高いマーケティング施策をご提案しております。
カスタマージャーニーとは?顧客が契約に至るまでの流れを可視化する手法
カスタマージャーニーとは、顧客が商品やサービスを認知してから購入・契約に至るまでの一連のプロセスを「旅」に見立てて可視化する手法です。
BtoB領域では複数の意思決定者が関わるため、購買プロセスが複雑化しやすい傾向があります。
このセクションでは、カスタマージャーニーの基本的な考え方と、BtoB企業で注目される背景を解説します。
顧客が購入するまでのプロセスを時系列で整理する
カスタマージャーニーの本質は、顧客の行動や心理を時系列で整理することにあります。
▼基本的なフェーズの流れ
- ①認知
- ②興味・関心
- ③比較検討
- ④購入
- ⑤継続利用
各フェーズで「顧客がどんな行動を取り、何を考えているのか」を明らかにするのです。
この整理によって、営業やマーケティングの課題が「どのフェーズで発生しているのか」を特定できます。
たとえば、認知段階での流入は十分なのに商談化率が低い場合、比較検討フェーズに課題があると仮説を立てられるでしょう。
つまり、プロセスを可視化することで「どこを改善すべきか」が明確になるのです。
カスタマージャーニーマップの基本構成要素
カスタマージャーニーマップは、顧客の購買プロセスを図式化したものです。
基本的な構成要素を理解しておくことで、実践的なマップ作成が可能となります。
| 構成要素 | 内容 |
| フェーズ(横軸) | 認知・興味関心・比較検討・購入・継続など |
| 顧客行動 | 各フェーズで顧客が取る具体的な行動 |
| 顧客心理・感情 | 各フェーズで顧客が抱える疑問や不安 |
| タッチポイント | 顧客との接点(Web、営業、展示会など) |
| 課題・対策 | 各フェーズの課題と必要な施策 |
BtoBの場合は、担当者と決裁者で求める情報が異なるため、複数のペルソナを想定してマップを作成することが効果的です。
BtoB企業で注目される背景と活用シーン
BtoB企業でカスタマージャーニーが注目される背景には、顧客の情報収集行動の変化があります。
インターネットの普及により、顧客は営業担当者と接触する前に、Webで情報収集を済ませているケースが増えているのです。
そのため、オンラインでの非対面コミュニケーションが購買意思決定に大きな影響を与えるようになりました。 カスタマージャーニーを設計することで、最適なタイミングで最適なコンテンツを届ける戦略が立てやすくなります。
具体的な活用シーンとしては、マーケティング施策の優先順位付け、営業プロセスの改善、コンテンツ企画の立案などが挙げられるでしょう。
マップ作成前に確認すべき3つのポイント
カスタマージャーニーマップは、作成前の準備で成否が決まります。
ペルソナ設定やデータの裏付け、社内の認識統一ができていないと、せっかく作ったマップが「机上の空論」で終わってしまうのです。
ここでは、マップ作成前に必ず確認すべき3つのポイントを解説します。
ペルソナ設定は具体的かつ現実的か
ペルソナ設定は、カスタマージャーニーマップの土台となる重要な要素です。
曖昧なペルソナでは、顧客の行動や心理を正確に想定できません。
BtoBの場合、以下の2つのペルソナを設定することが効果的です。
| ペルソナの種類 | 設定すべき項目 |
| 企業ペルソナ | 業種、従業員数、売上規模、決裁フロー |
| 担当者ペルソナ | 役職、業務内容、抱える課題、情報収集手段 |
理想の顧客像ではなく、実際の取引先データをもとに設定することがポイントです。
売上上位の企業や今後注力したい企業をサンプルに選ぶと、現実的なペルソナが作れます。
顧客データとリアルな行動が一致しているか
カスタマージャーニーマップを作る際、自社の思い込みだけで顧客行動を想定すると失敗します。
「顧客はこう動くはず」という希望的観測は、実態と大きく乖離するリスクがあるのです。
顧客データとリアルな行動を一致させるには、以下の情報収集が有効です。
| 定量データ | 定性データ |
| Webサイトのアクセス解析 | 営業担当者へのヒアリング |
| 問い合わせ経路の分析 | 既存顧客へのインタビュー |
| 商談化率・成約率のデータ | 失注理由の分析 |
データに基づいた設計をすることで、実際の改善施策に活かせるマップが完成します。
社内関係者間で認識のズレがないか
カスタマージャーニーマップは、部署横断で活用してこそ効果を発揮します。
マーケティング、営業、カスタマーサクセスなど、各部署で顧客像の認識がバラバラでは、一貫した施策を実行できません。
認識のズレを防ぐには、マップ作成の段階から関係部署を巻き込むことが重要です。
また、完成したマップを社内で共有し、定期的に見直す仕組みを作ることで、継続的な活用が可能となるでしょう。
カスタマージャーニーマップの作り方【実践手順】
ここでは、実際にカスタマージャーニーマップを作成する手順を解説します。
基本の流れを押さえれば、初めてでも実践的なマップを作ることができます。
ペルソナ設定からフェーズ設計までの流れ
カスタマージャーニーマップ作成は、以下の手順で進めます。
| 手順 | 内容 |
| ①目的の明確化 | リード獲得、商談化率向上など具体的な目的を設定 |
| ②ペルソナ設定 | 企業ペルソナと担当者ペルソナを作成 |
| ③フェーズ設計 | 認知〜契約までの段階を定義 |
| ④フレーム作成 | 横軸にフェーズ、縦軸に行動・心理・接点を配置 |
目的によってマップに盛り込むべき要素が変わるため、最初に「何のために作るのか」を明確にすることがポイントです。
タッチポイントと顧客心理の洗い出し方
フレームができたら、各フェーズのタッチポイントと顧客心理を洗い出します。
▼タッチポイントの例
- 認知段階:Web検索、SNS、展示会、広告
- 比較検討段階:サービスサイト、資料請求、セミナー
- 商談段階:営業担当との面談、デモ、見積もり
顧客心理は「このフェーズで顧客が抱える疑問や不安は何か」を考えます。
たとえば比較検討段階では「他社と何が違うのか」「導入後の効果はあるのか」といった心理が想定されるでしょう。
営業担当者や既存顧客へのヒアリング結果を活用すると、より現実に即した内容になります。
契約数の課題から原因を特定し改善戦略を立てる方法
マップが完成したら、契約数の課題がどのフェーズで発生しているかを分析します。
| 課題 | 想定される原因 | 改善の方向性 |
| 認知が少ない | ターゲットに情報が届いていない | オウンドメディア・広告の強化 |
| 比較検討で離脱 | 競合との差別化ができていない | 事例コンテンツ・比較資料の作成 |
| 商談後の失注 | 導入メリットが伝わっていない | 導入後イメージの訴求強化 |
このように、フェーズごとに課題と原因を整理することで、優先すべき施策が明確になります。
マップは作って終わりではなく、PDCAを回して継続的に改善することが成果につながるのです。
課題別に見るカスタマージャーニー改善施策の具体例
カスタマージャーニーの各フェーズには、それぞれ特有の課題があります。
ここでは、よくある3つの課題と具体的な改善施策を解説します。
認知不足にはオウンドメディアが有効
「そもそもターゲットに自社の存在を知られていない」という認知不足の課題には、オウンドメディアが有効です。
オウンドメディアでSEO対策を行うことで、検索エンジン経由で潜在顧客にリーチできます。
広告と異なり、良質なコンテンツが蓄積されれば長期的な集客が見込めるのがメリットです。
| 施策 | 期待できる効果 |
| SEO記事の制作 | 検索流入の増加 |
| ホワイトペーパー配布 | リード情報の獲得 |
| メルマガ配信 | 継続的な接点の確保 |
BtoBでは検索エンジンを活用する顧客が多いため、オウンドメディアはリード獲得の有効な手段となります。
比較検討段階の離脱には事例コンテンツで対応
認知は十分なのに商談化しない場合、比較検討段階で離脱している可能性があります。
この段階の顧客は「他社と何が違うのか」「本当に効果があるのか」という疑問を抱えています。
有効な対策は、導入事例コンテンツの充実です。
▼事例コンテンツに盛り込むべき要素
- 導入前の課題
- 選定理由
- 導入後の成果(具体的な数値)
- 担当者の声
実際の顧客の声を掲載することで、信頼性が高まり、検討度の引き上げにつながります。
比較資料や競合との違いを整理したコンテンツも効果的でしょう。
商談後の失注には導入後イメージの訴求を強化
商談まで進んだのに失注してしまう場合、導入後のイメージが伝わっていない可能性があります。
BtoBでは複数の意思決定者が関わるため、担当者だけでなく決裁者を納得させる材料が必要です。
| 失注の原因 | 対策 |
| 導入効果が不明確 | ROI試算資料の提示 |
| 社内説得が難しい | 決裁者向け提案資料の作成 |
| 導入後の不安 | サポート体制の明示、デモの実施 |
「導入したらどうなるか」を具体的にイメージできる情報を提供することで、社内稟議を通しやすくなります。
導入事例の詳細な成果データや、導入後のサポートフローを明示することが効果的です。
カスタマージャーニー設計で契約につながる導線を構築しよう
カスタマージャーニーを設計することで、顧客が契約に至るまでのプロセスが可視化され、営業課題の特定と改善施策の立案が可能になります。
マップ作成前には、ペルソナ設定の精度、顧客データとの整合性、社内の認識統一を確認することが重要です。
作成後はPDCAを回し、継続的に改善していくことで成果につながります。
カスタマージャーニー設計やBtoBマーケティングでお悩みの企業様は、ぜひ一度ご相談ください。
弊社では、オウンドメディア構築から事例コンテンツ制作まで、費用対効果の高い施策をご提案しております。