クロスセルとは、既存顧客に関連商品を提案し、顧客単価を向上させる販売手法です。
新規顧客の獲得には既存顧客の維持に比べて約5倍のコストがかかると言われています。
限られた予算で売上を最大化するには、既存顧客への施策が不可欠です。
本記事を読めば、既存顧客から効率的に売上を伸ばすクロスセル施策が分かります。
▼今回の記事でわかることは・・・
- クロスセルの定義と売上最大化の仕組み
- アップセルとの違いと効果的な使い分け方
- 業態別の具体的な実践方法と成功ポイント
クロスセルを正しく実践すれば、顧客単価とLTV(顧客生涯価値)の両方を高めることができます。
目次
クロスセルとは
クロスセルには、売上向上に直結する重要な特徴があります。
基本から効果まで詳しく見ていきましょう。
【基礎】関連商品をセットで勧める販売手法
クロスセルとは、購入予定の商品に関連する別の商品を提案し、合わせて購入してもらう販売手法です。
例えば、以下のような方法があります。
方法
- スマホにケースや保護フィルム
- パソコンにマウスやソフトウェア
- 化粧水に乳液やクリーム
ECサイトでよく見る「この商品を購入した人は、こんな商品も購入しています」という表示も、クロスセルの代表例と言えます。
【効果】新規顧客開拓より5倍効率的に売上UP
新規顧客の獲得には既存顧客維持の約5倍のコストがかかるため、クロスセルは極めて効率的です。
売上は「顧客数×顧客単価」で決まります。
クロスセルで既存顧客の単価を上げる方が、新規顧客を開拓するより低コストで確実に成果を出せるのです。
| 指標 | 効果 |
| 顧客単価 | 関連商品の購入により増加 |
| 営業コスト | 新規開拓の約5分の1に削減 |
| LTV | 継続的な購入により向上 |
限られた経営資源で最大の成果を出すには、クロスセルの活用が不可欠と言えます。
クロスセルとアップセルの違い
クロスセルとアップセルの違いを理解することが重要です。
自社に合った手法を見極めて、効果的な施策を実践してください。
クロスセルは関連商品を追加すること
クロスセルは、購入予定の商品に関連商品を追加する手法です。
関連商品を同時に購入してもらうことで、顧客単価を上げます。
具体的には以下のような提案があります。
▼具体案
- ハンバーガーにポテトとドリンク
- テレビにテレビ台や録画機器
- クラウドサービスにサポートプラン
アップセルは上位商品への切り替え
アップセルは、より高額な上位商品への乗り換えを促す手法です。
同じ商品カテゴリー内で、より価値の高い選択肢を提案します。
具体的には以下のような提案が効果的です。
- 無料プランから有料プランへ
- スタンダードモデルからプレミアムモデルへ
- 月額プランから年間プランへ
顧客にとってのメリットを明確に示すことで、上位商品への切り替えを実現できます。
【タイミング】購入直前か検討中か
クロスセルは購入直前、アップセルは検討中に提案します。
顧客の心理状態に合わせたタイミングが成功のカギとなります。
| 手法 | 最適なタイミング | 顧客の心理状態 |
| クロスセル | 購入直前・カート投入時 | 購入意欲が最も高い状態 |
| アップセル | 商品検討中・比較段階 | より良い選択肢を探している状態 |
タイミングを見極めることで、成約率が大きく変わります。
【業界別】クロスセルの実践方法
業界ごとに最適なクロスセル手法が存在します。
自社の業態に合った方法を実践してください。
【EC向け】おすすめ表示とセット割引で売上を伸ばす
ECサイトでは、レコメンド機能とセット割引が効果的です。
Amazonの「この商品を購入した人は、こんな商品も購入しています」という表示は、クロスセル成功の代表例と言えます。
具体的な施策は、以下の通りです。
▼具体的な施策
- カート画面に関連商品を自動表示
- セット購入で10〜20%割引を提示
- 購入履歴に基づいたパーソナライズ提案
顧客が購入意欲の高いタイミングで提案することで、成約率を高められます。
【店舗・BtoB向け】購入履歴から最適な商品を提案
店舗やBtoBでは、定期的な接触と購入履歴分析が重要です。
携帯電話販売店では、機種変更時に電気・ガス契約や動画サービスを提案することで、顧客単価を大きく向上させています。
効果的なアプローチは、以下の通りです。
▼効果的なアプローチ
- 定期訪問時に関連商品をヒアリング
- 購入履歴から消耗品の補充タイミングを予測
- オプションサービスをセットで提案
顧客との信頼関係を基盤に、長期的な視点でクロスセルを実践することが成功の鍵となります。
クロスセルを成功させる3つのポイント
クロスセル成功には、押さえるべき重要なポイントがあります。
ECでもBtoBでも、これらのポイントを実践して成約率を高めていきましょう。
①購入履歴から本当に欲しいものを見抜く
顧客の購入履歴や取引データを分析し、ニーズに合った商品を提案することが重要です。
ECでは閲覧履歴や購入パターン、BtoBではCRM(顧客管理システム)に蓄積された商談履歴や問い合わせ内容を活用します。
闇雲に関連商品を勧めるのではなく、顧客が本当に求めている商品を見極めることが成功の鍵です。
②カートに入れた直後が勝負
購入意欲が最も高まるタイミングでの提案が、クロスセル成功のポイントです。
ECではカート投入直後や購入完了画面が最適なタイミングと言えます。
BtoBでは契約更新時や定期訪問時など、顧客との接点が生まれるタイミングを逃さず提案することが重要です。
③一緒に買いたくなる組み合わせを作る
商品の相性や顧客メリットを考えた組み合わせ設計が成功の鍵です。
ECではセット割引、BtoBでは導入支援やメンテナンスプランなど、同時購入で得られる価値を明確に示します。
顧客の課題解決につながる組み合わせを提案することで、満足度と成約率の両方を高められます。
クロスセルに関するよくある質問
クロスセル実践時によくある疑問を解消します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
押し売りと思われずにクロスセルする方法は?
顧客ニーズに合った提案と適切なタイミングが重要です。
顧客が本当に必要としている商品を、購入意欲が高まっているタイミングで提案することで、押し売り感を与えません。
購入履歴や行動データを分析し、顧客視点で価値ある商品を勧めることが成功の鍵となります。
クロスセル以外で売上を伸ばす方法は?
アップセルやダウンセルなど、複数の手法を組み合わせることが効果的です。
アップセルは上位商品への切り替えを促し、ダウンセルは予算に合わせた商品を提案する手法です。
顧客の状況に応じて最適な手法を選択することで、売上とLTVの両方を最大化できます。
クロスセルで売上を最大化するために
新規顧客開拓に苦戦し、既存顧客からの売上が伸び悩んでいる企業は少なくありません。
クロスセルは関連商品を提案することで顧客単価を上げ、新規顧客開拓の約5分の1のコストで売上を伸ばせる効果的な手法です。
購入履歴分析と最適なタイミングでの提案により、顧客満足度を高めながら収益を最大化できます。
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