2025年11月14日、中国外務省が日本への渡航自粛を呼びかけました。
高市首相の台湾有事に関する国会答弁がきっかけです。
▼本記事でわかること
- 中国が渡航自粛を出した経緯と高市発言の内容
- 日本経済への実際の影響と観光客の動向
- 過去事例との比較と今後の見通し
この記事では、渡航自粛の背景から経済影響、今後の展望まで、客観的なデータをもとに解説します。
目次
中国が2025年11月14日に日本への渡航自粛を出した経緯
2025年11月、中国政府による日本への渡航自粛要請が発表されました。
この措置は高市首相の国会答弁が発端となっています。
11月7日の高市首相の国会答弁が発端
2025年11月7日、高市首相は衆議院予算委員会で台湾有事について答弁しました。
立憲民主党の岡田克也議員からの質問に対し、台湾有事が存立危機事態になり得るとの認識を示したのです。
高市首相は「戦艦を使って武力の行使も伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になり得るケースである」と明言しました。
この答弁は官僚が作成した答弁資料にはなく、高市首相自身の判断によるものでした。
中国側は翌日から激しい反発を開始し、日中関係は急速に悪化していきます。
11月14日に中国外務省が渡航自粛を呼びかけ
中国外務省は11月14日、自国民に対して日本への渡航を控えるよう通知しました。
通知では「日本の指導者が台湾に関し露骨に挑発する発言をした」と主張しています。
中国人の身体と生命の安全に重大なリスクをもたらしているとの理由を説明しました。
この通知に続き、中国の大手航空会社3社は日本行き航空券の無料キャンセル措置を発表しています。
また、中国教育省は日本への留学を慎重に検討するよう通知し、文化旅行省も日本旅行の自粛を呼びかけました。
在日中国大使館も、すでに日本に滞在している中国人に対し、安全防犯意識を高めるよう注意喚起しています。
中国側が「内政干渉」と強く反発した理由
中国は台湾を自国の一部と位置づけています。
高市発言は「一つの中国」の原則に反するとして、内政干渉に当たると主張しました。
中国外務省は「14億の中国人民が血肉で築き上げた鉄の長城」という表現で強い意志を示しています。
この表現は中国国歌の一節を引用したもので、台湾統一を阻む勢力は許さないという決意の表れです。
さらに注目すべきは、高市発言が日中首脳会談からわずか1週間後だった点です。
10月31日に習近平主席と高市首相は「戦略的互恵関係の推進」を確認したばかりでした。
中国側は習近平主席のメンツを潰されたと受け止め、強硬姿勢に転じたと見られています。
台湾統一は中国の最重要課題です
高市首相の「台湾有事は存立危機事態になり得る」発言とは
高市首相の発言は、日本の安全保障政策において重要な転換点となりました。
存立危機事態の意味と歴代首相の対応を理解することが重要です。
存立危機事態とは何か
存立危機事態とは、日本が集団的自衛権を行使できる条件のことです。
2014年に第2次安倍内閣が閣議決定で導入しました。
具体的には、以下の3要件を満たす場合を指します。
日本と密接な関係にある他国が攻撃され、日本の存立が脅かされる明白な危険があること。
日本の存立を守り、国民を守るために他に適当な手段がないこと。
必要最小限度の実力行使にとどまること。
従来、日本は憲法9条のもとで集団的自衛権の行使を禁じてきました。
しかし安倍政権は憲法解釈を変更し、限定的ながら集団的自衛権の行使を可能としたのです。
存立危機事態の認定は、友好国を防衛するために自衛隊を派遣する際の法的根拠となるため、極めて重要な意味を持ちます。
歴代首相があいまいにしてきた問題に言及
歴代首相は、台湾有事が存立危機事態に該当するかについて明言を避けてきました。
外交上の配慮から、あえて白黒をつけない「あいまい戦略」を採用していたのです。
この戦略には重要な意味があります。
台湾有事への対応を明言すれば中国を刺激し、関係悪化を招く恐れがあります。
一方で、対応しないと明言すれば、中国の台湾侵攻を誘発しかねません。
そのため歴代首相は「個別具体的な状況に即して総合的に判断する」という答弁を繰り返してきました。
高市首相は歴代首相として初めて、台湾有事が存立危機事態にあたる可能性を明言しました。
前首相の石破茂氏は「断定を避けてきた」として、この発言に苦言を呈しています。
高市首相は答弁後「つい言い過ぎた」と漏らしたとも報じられていますが、発言の撤回はしていません。
中国が反発した外交上の背景
高市発言は、10月31日の日中首脳会談のわずか1週間後でした。
両国は「戦略的互恵関係の推進」を確認したばかりだったのです。
習近平主席のメンツを潰す格好となり、中国側の強硬姿勢につながりました。
中国の渡航自粛が日本経済に与えた実際の影響
渡航自粛の経済的影響は、観光業を中心に広がっています。
具体的な数値データをもとに、実際の影響を見ていきましょう。
航空券の大量キャンセルが発生
渡航自粛の通知後、日本行き航空券の大量キャンセルが発生しました。
キャンセルは渡航自粛発表直後から急増しています。
中国の航空会社3社は、日本行き便のキャンセル料を無料にする措置を発表しました。
キャンセル無料の対象期間は、基本的に12月31日までの旅程です。
航空業界の損失は数十億人民元規模に達するとの分析もあります。
特に影響が大きかったのは、上海-東京便と上海-大阪便です。
返金のうち約7割が往復航空券であり、航空会社の収益に大きな打撃を与えています。
中国の航空会社は日中市場で主導的な立場にあるため、日本の航空会社よりも損失が大きいとの指摘があります。
旅行会社に団体旅行の大幅削減を指示
中国政府は国内旅行会社に対し、日本への団体旅行を大幅に削減するよう指示しました。
この指示は11月後半、高市首相の答弁直後に出されています。
旅行会社への指示は口頭で行われ、書面での通達はありませんでした。
これにより政府の関与を表面化させず、「民間の自主的な判断」という体裁を保つ狙いがあったと見られます。
一部の旅行代理店には、日本旅行商品の販売を全面的に中止するよう求めるケースもありました。
中国の旅行業界関係者によると、上海や北京の大手旅行会社は日本ツアーの新規受付を停止しています。
既に予約が入っていたツアーについても、顧客に他の目的地への変更を勧めるよう指示されました。
旅行会社の担当者は「政府の方針に従わざるを得ない」とコメントしています。
中国国内のオンライン旅行予約サイトでは、日本行きツアーの検索結果が大幅に減少しました。
一部のサイトでは、日本ツアーのページ自体が削除されるケースも報告されています。
中国では旅行業界も政府の強い統制下にあります
経済損失は1.79~2.2兆円の試算
野村総合研究所は、渡航自粛の影響が1年続いた場合の経済損失を1.79兆円と試算しました。
日本のGDPを0.29%押し下げる規模です。
この試算は、2012年の尖閣問題で訪日中国人が25.1%減少した実績をもとに算出されています。
2025年1-9月の中国からの訪日客は約749万人で国別首位でした。
中国人観光客の1人当たり旅行支出額は23.9万円です。
この水準が維持されながら訪日客数が25.1%減少すると、年間で1.79兆円の経済損失が生じる計算になります。
一方、日本総研は別の試算を示しています。
中国政府が長期的に渡航を禁止する場合、1年間で1.2兆円、3年間で2.3兆円の損失になると分析しました。
これは韓国へのTHAAD制裁のように、中国政府が団体旅行を長期間禁止するケースを想定したものです。
観光庁の推計では、2025年1-9月のインバウンド消費額約6.9兆円のうち、中国人が23%を占めています。
※2025年1-9月の中国からの訪日客は約749万人で国別首位でした
渡航自粛後も中国人観光客は実際に日本に来ているのか
渡航自粛が出された後も、中国人観光客の訪日は完全には止まっていません。
公式発表と実際の動向には違いがあります。
渡航自粛は禁止ではなく注意喚起
中国政府の措置は、あくまで注意喚起であり法的な禁止ではありません。
個人の判断で訪日すること自体は可能です。
中国の中には、キャンセル料を避けるため予定通り訪日している人もいます。
ただし、団体旅行への制限は実質的に強制力を持っています。
中国政府は旅行会社に対して具体的な削減目標を指示しており、団体ツアーの催行は困難な状況です。
また、中国国内のメディアでは日本に好意的な記事が掲載されにくくなっています。
これにより、中国世論の反日ムードが高まり、自主的に訪日を控える動きも広がっています。
11月は前年同月比で微増している
2025年11月の訪日中国人は562,600人でした。
前月比では21%減少していますが、前年同月比では3%増加しています。
完全に止まったわけではなく、一定数の訪日は継続している状況です。
11月に中国は韓国に抜かれ、国別訪日客数で2位に後退しました。
しかし前年同月比でプラスを維持している点は注目に値します。
年末や冬休み期間の予約キャンセルは進んでいますが、春節(2026年2月中旬)への影響が最大の焦点です。
キャンセル無料の措置が12月31日までであることから、年内に状況が落ち着くことを期待する声もあります。
団体旅行は大幅減だが個人旅行は継続
団体旅行のキャンセルが急増する一方、個人旅行は比較的影響が小さい状況です。
リピーターや親日派は、個人旅行の形で訪日を続けています。
訪日客の半数以上がリピーターであり、日本への関心は依然として高いと言えます。
2012年の尖閣問題の際も、個人旅行はあまり減少しませんでした。
団体ツアーは旅行会社の判断に左右されますが、個人旅行は自己判断で実施できるためです。
ただし、航空便の減便が進めば、個人旅行者の移動の利便性も低下します。
実際、中国の航空会社は11月末から2026年3月にかけて、日本路線を相次いで減便しています。
春節連休を含む期間の減便は、個人旅行にも負の影響を与える可能性があります。
中国人観光客への依存度が高い業界・地域が取るべき対応
中国人観光客への依存度が高い業界や地域は、早急な対応が求められています。
短期・中期・長期それぞれの視点で戦略を見直す必要があります。
短期的には他国からの観光客誘致を強化
中国需要の減少を補うため、他国からの観光客誘致が重要です。
韓国、台湾、東南アジア諸国などへのプロモーション強化が有効でしょう。
欧米からの訪日客は旅行支出が多い傾向にあり、積極的な誘致が期待されます。
実際、中国からの旅行需要は韓国、タイ、シンガポールなどへ流れています。
韓国は2026年6月までの期間限定で、中国人団体客のビザを免除する措置を発表しました。
日本も他国との競争を意識した誘致策が求められます。
ただし、他国への代替が進んでも、中国市場の規模を完全に埋めることは困難です。
短期的な補完策として位置づけるべきでしょう。
中国依存からの脱却を進める機会
今回の事態は、市場の多様化を進める好機とも言えます。
2019年には中国人の訪日消費額が全体の36.0%を占めていました。
2024年には21.2%まで低下しており、分散化は既に進行しています。
中国市場への依存度が下がったことで、今回の渡航自粛の影響は以前よりも限定的です。
観光産業においては、中国市場に依存しない時期が長く続きました。
その間に北米やアジア諸国などへの分散が進んでいます。
2025年1-9月時点では中国のシェアが23.8%に拡大していましたが、これは一時的な傾向と見られます。
中国依存を下げることで、政治リスクへの耐性を高めることができます。
一方で、市場の多様化には時間とコストがかかる点にも留意が必要です。
日中関係の改善を待つべきか判断が分かれる
日中関係の改善を待って中国市場の回復に期待するか、中国以外の市場に注力するかは判断が分かれます。
中国市場の規模は依然として大きく、完全に切り離すことは現実的ではありません。
訪日中国人の消費額は1人当たり23.9万円と高く、経済的インパクトは無視できません。
また、コロナ前の水準から見れば、中国からの訪日客は今後も伸びる余地があります。
一方で、政治リスクを考慮し、中国への依存度を下げる方針も合理的です。
今回のような渡航制限は、日中間の政治的摩擦が起こるたびに繰り返される可能性があります。
観光業界の中には「もう中国に頼らない」と方針転換を検討する企業も出始めています。
短期的には両面作戦が現実的でしょう。
中国市場との関係を維持しつつ、他国からの誘致も強化する。
こうしたバランスの取れたアプローチが、政治リスクへの耐性を高めることになります。
日本政府も、特定の国への依存を避け、世界各国から均等に観光客を誘致する方針を掲げています。
観光立国推進基本計画では、市場の多様化が重点目標の一つに位置づけられています
過去にも中国は日本への渡航自粛を出している
中国が日本への渡航自粛を要請したのは、今回が初めてではありません。
過去の事例を振り返ることで、今後の見通しを立てやすくなります。
2012年の尖閣問題でも同様の措置
2012年9月、日本が尖閣諸島を国有化したことに対抗し、中国は渡航自粛を呼びかけました。
当時も団体旅行のキャンセルが急増しています。
中国国内では大規模な反日デモも発生しました。
デモは一部で暴徒化し、日系企業の工場や店舗が襲撃される事態にも発展しています。
2012年の場合、中国当局は訪日ツアーを直接規制しませんでした。
しかし、中国メディアに対し日本に好意的な記事を掲載させないよう指示しました。
これにより、中国世論の反日ムードから団体ツアーが催行できなくなったのです。
当時も個人旅行はあまり減少せず、影響は団体旅行に集中していました。
当時は訪日中国人が前年比25.1%減少
2012年の渡航自粛では、訪日中国人が1年間で前年比25.1%減少しました。
影響は約1年続き、2013年9月にようやくプラスに転じています。
月別で見ると、2012年10月が前年比34.3%減、11月が43.6%減、12月が34.3%減と大きく落ち込みました。
最も影響が大きかったのは11月です。
ただし、当時は政府による観光制限の発令はなく、今回とは状況が異なります。
2012年は世論の反日ムードによる自主的な渡航控えでした。
そのため、関係が改善に向かうと比較的早く回復したと言えます。
日本政府観光局とJNTOは、2012年の尖閣問題後も訪日誘致プロモーションを継続しました。
中国側から中止されない限り、予定通り誘致活動を実施する方針を貫いたのです。
今回と2012年の違いと解除までの期間
2012年は注意喚起のみでしたが、今回は旅行会社への具体的指示が出されています。
団体旅行の大幅削減という具体的な目標は、より踏み込んだ措置です。
2012年よりも影響が長期化する可能性があります。
参考になるのは、2017年の韓国へのTHAAD制裁です。
韓国が高高度防衛ミサイルを配備したことに対する報復として、中国政府は韓国への団体旅行を禁止しました。
この渡航禁止令により、訪韓中国人数は1年で半減しています。
その後の制裁解除も段階的にとどまり、旅行者数の落ち込みは長期化しました。
今回の措置が韓国のケースと同様に長期化するかは、日中関係の推移次第です。
ただし、中国側が明確な解除条件を示していない点は不透明要因と言えます。
2017年の韓国THAAD問題では制裁が段階的にしか解除されず、長期化しました
中国の渡航自粛は今後どうなる?解除の見通し
渡航自粛がいつ解除されるかは、日中関係の推移に左右されます。
短期的な解除は難しく、中長期的な視点が必要です。
日中関係の改善が鍵を握る
渡航自粛の解除には、日中関係の改善が不可欠です。
高市首相の発言撤回を中国側は求めていますが、日本側は応じていません。
両国の外交姿勢が変わらない限り、状況の改善は見込めないでしょう。
11月18日に日中外務省の局長級協議が北京で行われました。
中国外交部の劉勁松アジア局長は、険しい表情で日本外務省の金井正彰アジア大洋州局長に応対しています。
この映像は中国側が日本に対して高圧的に対応している演出と見られています。
日本政府は、建設的かつ安定的な関係の構築を中国側に求めています。
しかし、中国側は「全ての責任は日本側が負わなければならない」との姿勢を崩していません。
外交チャネルを通じた対話は続いていますが、打開の糸口は見えていない状況です。
短期的な解除は難しい状況
2026年2月の春節シーズンまでに解除されることを期待する声もあります。
しかし、現時点では短期的な解除は難しい状況です。
中国側は日本に対して高圧的な対応を続けており、早期の軟化は考えにくいと言えます。
世論調査では、高市首相の支持率は横ばいか上昇しています。
産経新聞の調査では「台湾有事の際に存立危機事態と認定することは適切だ」との回答が61.0%でした。
日本国内では高市発言への支持が一定程度あり、撤回の可能性は低いと見られます。
一方で、中国側も国内向けに強硬姿勢を示す必要があります。
簡単に譲歩すれば、習近平政権の威信に関わるためです。
両国とも引くに引けない状況にあり、膠着状態が続く可能性が高いと言えます。
中国側の真の狙いと日本への圧力
中国の狙いは、日本政府に政策転換を促すことにあります。
経済的な痛みを通じて、日本の対中姿勢を変えさせる意図があるでしょう。
ただし、中国の航空会社や旅行会社も損失を被っており、「セルフ経済制裁」との指摘もあります。
注目すべきは、中国側の政治的メッセージの強さに反して、制裁措置が限定的である点です。
日本経済全体の構造を揺るがすほどの金融制裁、レアアース禁輸、半導体製造装置への規制などには踏み込んでいません。
日本企業や国全体への影響は限定的です。
これは、中国経済も日本との経済関係に依存しているためと考えられます。
全面的な経済制裁は中国自身にも大きな損失をもたらすため、観光分野に絞った圧力にとどめていると見られます。
中国側は段階的にエスカレートさせる余地を残しながら、日本の出方を見極めている可能性があります。
中国の渡航自粛に関するよくある質問
中国の渡航自粛は強制力がありますか?
中国政府の渡航自粛は、法的な強制力を持つものではありません。
あくまで注意喚起の位置づけであり、個人の判断で訪日すること自体は可能です。
実際に、渡航自粛が出された後も個人旅行者の訪日は継続しています。
しかし、団体旅行については別の状況です。
中国政府は旅行会社に対して具体的な削減指示を出しており、これは実質的な強制力を持っています。
旅行会社は政府の指導に従わなければ、営業許可の取り消しなどのリスクがあるためです。
また、航空会社によるキャンセル料無料措置も、個人旅行者に影響を与えています。
この措置により、予定をキャンセルしやすい環境が作られ、心理的に訪日を控える動きが広がりました。
中国国内のメディアでは日本に好意的な記事が掲載されにくくなり、反日ムードが醸成されています。
こうした環境下では、たとえ法的制約がなくても、中国人が訪日を自主的に控える傾向が強まります。
過去の韓国へのTHAAD制裁では、法的禁止ではなく実質的な圧力で旅行者数が激減しました
過去に渡航自粛が解除されたケースは?
2012年の尖閣問題では、中国による渡航自粛が約1年続きました。
訪日中国人数は2012年10月に前年比34.3%減、11月に43.6%減と大きく落ち込みました。
しかし2013年9月には前年同月比でプラスに転じ、回復の兆しが見えました。
完全に元の水準に戻るには、さらに数年を要しています。
2014年には前年比83.3%増と急回復し、2015年には訪日中国人が約499万人に達しました。
この回復の背景には、円安や日本政府の積極的な誘致施策がありました。
また、2017年の韓国へのTHAAD制裁のケースも参考になります。
中国政府は韓国への団体旅行を禁止し、訪韓中国人数は1年で半減しました。
その後、制裁が段階的に解除されましたが、完全な回復には数年を要しています。
今回の日本への措置は2012年よりも踏み込んでおり、韓国のケースに近い可能性があります。
そのため、解除までの期間は不透明であり、長期化も視野に入れる必要があります。
韓国のケースでは、政治的な摩擦が収まった後も、中国側は段階的にしか制裁を解除しませんでした
日本から中国への渡航は問題ないですか?
日本から中国への渡航について、中国政府は特に制限を設けていません。
日本人の中国入国は通常通り可能であり、ビザ要件も変更されていません。
ただし、日中関係の悪化により、現地での対応が変わる可能性には注意が必要です。
過去の尖閣問題の際には、中国国内で反日デモが発生し、日系企業や日本人が標的にされるケースがありました。
今回も中国国内の反日ムードが高まっており、日本人に対する視線が厳しくなる可能性があります。
外務省の海外安全情報では、中国への渡航について特段の注意喚起は出されていません。
しかし、状況は流動的であり、最新の情報を確認することが重要です。
中国滞在中は、政治的な話題を避け、現地の法律や習慣を尊重する姿勢が求められます。
また、万が一のトラブルに備えて、在中国日本大使館や領事館の連絡先を控えておくことをおすすめします。
ビジネス渡航の場合、現地の取引先や駐在員から最新の治安情報を入手することも有効です。
外務省の海外安全ホームページで最新情報を確認してください
中国の渡航自粛を正しく理解して冷静に対応することが重要
中国による日本への渡航自粛は、日中関係の悪化を背景とした政治的措置です。
高市首相の台湾有事発言がきっかけとなり、経済的な影響も広がっています。
▼本記事のポイント
- 高市首相の台湾有事発言を受け中国が渡航自粛を要請、航空券の大量キャンセルが発生
- 経済損失は1.79〜2.3兆円規模、団体旅行は激減も個人旅行は継続
- 2012年の尖閣問題では1年で回復、今回は長期化の可能性が高い
- 短期解除は困難、中国依存からの脱却と市場多様化が今後の課題
感情的にならず、事実に基づいた冷静な判断が求められます。