オリンパスは消化器内視鏡の分野で世界シェア約7割を占めています。
カメラメーカーとして知られる同社が、なぜ医療機器で圧倒的な地位を築けたのでしょうか。
▼本記事でわかること
- オリンパスが内視鏡市場で世界シェア7割を獲得した戦略
- 不祥事から信頼を回復したプロセス
- 一般企業でも応用できるブランディング手法
本記事では、オリンパスのブランディング手法を深掘りし、自社のマーケティングに活かせる実践的な知見を提供します。
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目次
オリンパスが内視鏡市場に参入した1950年と当時の市場状況
オリンパスが内視鏡市場に参入したのは1950年です。
当時、胃がんの早期発見が医療現場の大きな課題でした。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1950年代の医療現場が抱えていた課題
1950年代の日本では、胃がんが国民病とも言われる深刻な健康問題でした。
医師は患者の胃の中を直接観察する手段を持たず、診断は困難を極めていました。
当時の検査方法は、レントゲンによる間接的な診断が主流でしたが、早期発見には限界がありました。
胃の中を直接見られれば、早期発見できる!
カメラ技術を医療に応用するという発想
1949年、東京大学分院の医師からオリンパスに「患者の胃の中を写せるカメラを作ってほしい」という依頼がありました。
これがオリンパスの内視鏡事業の始まりです。
当時オリンパスは顕微鏡やカメラを製造しており、光学技術のノウハウを持っていました。
医師の要望に応える形で、カメラ技術を医療分野に応用する挑戦が始まったのです。
参入当初の内視鏡市場の規模と競合の状況
1950年当時、胃カメラを実用化した企業は世界になく、市場はほぼ未開拓でした。
オリンパスは1950年に試作機を完成させ、1952年に世界初の実用的な胃カメラを開発しました。
競合がほとんど存在しない中で、オリンパスは医師との協力関係を築きながら製品改良を重ねました。
この時期に築いた医師とのネットワークが、後の市場独占の基盤となります。
市場動向に対してオリンパスが取った戦略
オリンパスは市場動向を見極め、戦略的に行動しました。
医療現場のニーズを製品開発に反映する仕組みを作り、競合との差別化を図ったのです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
医師の声を製品開発に反映する仕組みを作った
オリンパスは1955年に全国胃カメラ研究会(のちに日本消化器内視鏡学会へ発展)の事務局を担当しました。
これにより、全国の医師とのネットワークを構築し、製品改良のフィードバックを受ける仕組みが完成しました。
医師から「こういう機能が欲しい」という要望を直接聞き、製品開発に反映することで、現場で使いやすい内視鏡を作り上げたのです。
医師との二人三脚が成功の鍵!
小型化・高画質化で他社との差別化を図った
オリンパスは内視鏡の小型化と高画質化に注力しました。
1964年にはファイバースコープ付胃カメラを発売し、リアルタイムで患部を観察できるようにしました。
さらに1985年にはビデオスコープシステムを発売し、複数の医師が同じ画像を見ながら診断できるようになりました。
技術革新を続けることで、競合が追随できない製品を作り続けたのです。
医療機関との長期的な信頼関係を築く営業スタイル
オリンパスは単に製品を売るだけでなく、医療機関との長期的な関係構築を重視しました。
製品の導入後もメンテナンスやサポートを徹底し、医師が安心して使える環境を提供しました。
医療機器は一度導入すると長期間使用されるため、信頼関係が鍵となります。
オリンパスは医師との対話を重ね、信頼を積み上げることで、他社への乗り換えを防ぎました。
オリンパスが直面した課題と解決策
オリンパスは順風満帆だったわけではありません。
2011年に発覚した不祥事により、企業イメージは大きく傷つきました。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
不祥事による企業イメージの悪化
2011年、オリンパスは1990年代からの巨額損失隠しが発覚し、上場廃止の危機に陥りました。
財テク投資の失敗による損失を20年間隠し続け、不透明なM&Aで損失を補填していたことが明らかになりました。
この不祥事により、オリンパスの株価は急落し、企業の信頼は地に落ちました。
しかし、内視鏡事業そのものは世界中の医療現場で不可欠な存在であり、技術力は揺るぎませんでした。
医療現場との対話を増やして信頼を回復した方法
オリンパスは不祥事後、医療現場との対話を積極的に行いました。
医師や医療機関に対して、経営陣が直接謝罪し、内視鏡事業への影響を最小限に抑える努力を説明しました。
内視鏡の品質やサポート体制には一切影響がないことを強調し、医療現場の信頼を繋ぎ止めたのです。
長年築いてきた医師との関係が、ここで大きな力を発揮しました。
経営陣を刷新してガバナンス体制を再構築した
オリンパスは経営陣を刷新し、ガバナンス体制を根本から見直しました。
社外取締役を増やし、経営の透明性を高める改革を断行しました。
また、内視鏡など医療事業に経営資源を集中する方針を明確にし、赤字だったカメラ事業を2021年に売却しました。
経営の選択と集中により、医療機器メーカーとして再出発したのです。
オリンパスが一気に成長した1980年代とその背景
1980年代、オリンパスの内視鏡事業は飛躍的に成長しました。
医療業界の変化とグローバル展開が成長を後押ししたのです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
内視鏡の需要が急拡大した医療業界の変化
1980年代、世界的にがん患者が増加し、早期発見・早期治療の重要性が高まりました。
内視鏡は診断だけでなく治療もできる医療機器として、医療現場で不可欠な存在になりました。
特に、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)などの低侵襲治療が普及し、患者の負担を大幅に軽減できるようになりました。
医療技術の進化とともに、内視鏡市場は急速に拡大したのです。
グローバル展開で海外市場を開拓した時期
オリンパスは1980年代から海外市場への展開を加速しました。
アメリカやヨーロッパの医療機関に対して、積極的に製品を売り込みました。
海外の医師に対してもトレーニングプログラムを提供し、内視鏡の使い方を普及させる活動を行いました。
グローバル展開により、オリンパスは世界市場での地位を確立しました。
カメラ事業を売却して内視鏡に経営資源を集中
オリンパスは2021年、赤字が続いていたカメラ事業を日本産業パートナーズに売却しました。
カメラ事業は3期連続の営業赤字で、累積損失は1000億円に達していました。
スマートフォンの台頭により、デジタルカメラ市場は縮小の一途をたどっていたのです。
カメラ事業を手放すことで、オリンパスは内視鏡など医療事業に経営資源を集中できるようになりました。
なぜオリンパスは世界シェア7割を獲得できたのか
オリンパスが世界シェア7割を獲得できた理由は、戦略的な取り組みにあります。
技術力だけでなく、医療現場との関係構築が成功の鍵でした。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
技術者と営業が連携して顧客ニーズを製品化した
オリンパスの強みは、技術者と営業が密に連携して製品開発を行ったことです。
営業が医師から聞いた要望を技術者に伝え、技術者がそれを実現する製品を作る仕組みがありました。
例えば、医師から「もっと細い内視鏡が欲しい」という要望があれば、技術者は小型化に取り組みました。
顧客ニーズを的確に製品化することで、オリンパスは競合を引き離しました。
ニッチ市場に集中して競合優位性を確立した
オリンパスは内視鏡というニッチ市場に経営資源を集中しました。
多角化せず、内視鏡一筋で技術を磨き続けたことが、圧倒的な競合優位性を生み出しました。
消化器内視鏡の世界シェアは約7割、日本のオリンパス、富士フイルム、ペンタックスの3社で世界シェアの9割以上を占めています。
ニッチ市場でトップシェアを獲得することで、高い収益性を実現したのです。
医療機関からの信頼を長期的に積み上げた
オリンパスは60年以上にわたり、医師のニーズに応え続けてきました。
医師は一度使い慣れた道具を変えたがらないため、信頼関係が構築されれば長期的な顧客になります。
オリンパスは製品の品質とサポート体制を維持し続けることで、医療機関からの信頼を積み上げました。
この信頼が、他社への乗り換えを防ぐ強力な参入障壁となっています。
シェア獲得後にオリンパスが実施した施策
オリンパスは世界シェア7割を獲得した後も、さらなる成長を目指して施策を打ち出しました。
社会的な信頼を高める活動やグローバル市場でのブランド力強化を継続しています。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
医療支援活動で社会的な信頼を高めた
オリンパスは新興国の医療現場を支援する活動を積極的に行っています。
ブラジルやインドなどの新興国に対して、内視鏡の技術トレーニングを提供しています。
現地の医師を教育することで、将来的には新興国への内視鏡普及にも繋がります。
医療支援活動を通じて、オリンパスは社会貢献企業としてのブランドイメージを高めています。
医療機関向けのセミナー・研修で専門性を発信
オリンパスは医療機関向けのセミナーや研修を定期的に開催しています。
最新の内視鏡技術や治療法について情報発信することで、医師との接点を増やしています。
セミナーでは実際に製品を体験してもらうデモンストレーションも行い、製品の優位性を実感してもらいます。
専門性を発信し続けることで、業界内での存在感を維持しています。
グローバル市場でのブランド力強化を継続
オリンパスはグローバル市場でのブランド力強化を継続しています。
2024年の消化器内視鏡市場規模は3000億〜4000億円で、2025年から2027年までは4〜6パーセントの成長が見込まれています。
オリンパスは新興国市場への展開を加速し、世界中の医療現場で内視鏡を普及させる活動を続けています。
グローバル展開により、オリンパスは持続的な成長を目指しています。
一般企業でも真似できるニッチ市場でシェアを獲得する方法
オリンパスの成功事例から、一般企業でも応用できる戦略を学ぶことができます。
ニッチ市場に集中し、顧客との信頼関係を築くことで、シェアを獲得できます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
市場を絞って集中的に経営資源を投入する
オリンパスは内視鏡というニッチ市場に経営資源を集中しました。
一般企業も、自社の強みが活きる市場を見極め、そこに集中投資することが重要です。
| 戦略 | 内容 |
| 市場の選定 | 自社の技術や強みが活きる市場を選ぶ |
| 経営資源の集中 | ヒト・モノ・カネをその市場に集中投入 |
| 競合分析 | 競合が少ない、または自社が優位性を持てる市場を狙う |
多角化せず、一つの市場でトップシェアを目指すことが成功の鍵です。
顧客の声を製品開発に活かす仕組みを作る
オリンパスは医師の声を製品開発に反映する仕組みを作りました。
一般企業も、顧客の声を収集し、製品・サービス改善に活かす仕組みが必要です。
| 仕組み | 内容 |
| 顧客ヒアリング | 定期的に顧客と対話し、ニーズを把握 |
| フィードバックの共有 | 営業と開発が情報を共有する仕組み |
| 改善サイクル | 顧客の声を製品・サービスに反映する |
顧客ニーズに応える製品を作り続けることで、競合との差別化が可能になります。
長期的な信頼関係を築く営業スタイルに変える
オリンパスは医療機関との長期的な信頼関係を築きました。
一般企業も、単発の取引ではなく、長期的な関係構築を目指す営業スタイルに変える必要があります。
| 営業スタイル | 内容 |
| 顧客との対話 | 定期的に訪問し、課題をヒアリング |
| アフターサポート | 導入後もサポートを継続 |
| 信頼の積み上げ | 約束を守り、期待に応える |
信頼関係が構築されれば、顧客は長期的なパートナーとなります。
一般企業でも真似できる顧客との信頼関係を築くブランディング
オリンパスは顧客との信頼関係を築くブランディングを実践しました。
一般企業でも応用できる具体的な手法を紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
専門性を発信するオウンドメディア運用
オリンパスは医療関連の情報を発信するオウンドメディアを運用し、医療従事者との接点を増やしています。
一般企業も、専門性を発信するオウンドメディアを運用することで、業界内での認知度を高め、潜在顧客との接点を作ることができます。
▼オウンドメディア運用の効果
- 検索エンジンからの自然流入を獲得
- 専門性をアピールして信頼を獲得
- リード獲得から商談化までの導線を構築
SEO対策を施した記事を作成することで、検索エンジンからの流入を増やし、リード獲得に繋げることができます。
さらに、記事内で自社の強みやサービスを自然に紹介することで、商談化率を高めることも可能です。
オウンドメディア運用でお悩みの場合は、メグダイにご相談ください。
マタニティ業界や大手食品メーカーなど、幅広い業界でメディア運用を支援し、検索流入からリード獲得までの導線を構築した実績があります。
メディア露出で信頼を獲得する広報・PR活動
オリンパスは積極的にメディア露出を行い、企業の信頼性を高めています。
一般企業も、広報・PR活動を通じてメディアに取り上げられることで、ブランド力を向上させることができます。
メディア露出の効果は、広告とは異なり、第三者からの信頼性が高いことです。
テレビや新聞、Webメディアで紹介されることで、自社の認知度が飛躍的に向上し、問い合わせ数の増加に繋がります。
▼メディア露出で得られる効果
- 認知度の飛躍的な向上
- 第三者評価による信頼性の獲得
- 広告費をかけずに広範囲にリーチ
メグダイでは、独自のノウハウで大手メディアからローカルメディアまで幅広く取り上げられる支援を行っています。
地上波番組での紹介実績もあり、費用対効果の高い集客支援に繋げています。
広報・PR活動にご興味がある場合は、ぜひお問い合わせください。
セミナー・勉強会で顧客との接点を増やす方法
オリンパスは医療機関向けのセミナーや研修を定期的に開催し、専門性を発信しながら信頼関係を構築しています。
一般企業も、セミナーや勉強会を開催することで、顧客との接点を増やし、ブランド力を高めることができます。
| セミナーの種類 | 目的 |
| 業界動向セミナー | 最新情報を提供し、専門性をアピール |
| 製品デモンストレーション | 製品の優位性を実感してもらう |
| 顧客事例共有会 | 成功事例を共有し、信頼を獲得 |
セミナーを通じて顧客との関係を深め、長期的なパートナーシップを構築できます。
さらに、体験型の場を提供することも効果的です。
顧客が実際に製品を試したり、サービスを体験したりできる場を設けることで、購買意欲を高めることができます。
メグダイでは、代官山に試食専門店を運営し、主婦・マダム層に食品メーカーの商品を体験してもらう場を提供しています。
TV番組やYouTubeでも紹介され、メディア露出と販路拡大を同時に実現した事例があります。
顧客接点を増やす施策にご興味がある場合は、ぜひご相談ください。
オリンパスに関するよくある質問
オリンパスに関して、よく寄せられる質問をまとめました。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
オリンパスはなぜカメラ事業を売却したのか?
オリンパスは2021年、赤字が続いていたカメラ事業を日本産業パートナーズに売却しました。
カメラ事業は3期連続の営業赤字で、累積損失は1000億円に達していました。
スマートフォンの普及により、デジタルカメラ市場は縮小の一途をたどっていたためです。
カメラ事業を手放すことで、オリンパスは内視鏡など医療事業に経営資源を集中し、医療機器メーカーとして再出発しました。
内視鏡以外の医療機器でのオリンパスのシェアは?
オリンパスは内視鏡以外にも、外科手術用の処置具や顕微鏡などの医療機器を展開しています。
消化器内視鏡が売上の約66パーセントを占め、オリンパスの大黒柱となっています。
処置具などの治療機器事業や、生物顕微鏡などの科学事業も堅調に推移しており、医療分野全体で高い収益性を維持しています。
オリンパスは医療事業に集中することで、持続的な成長を目指しています。
オリンパスの今後の成長戦略はどうなっている?
オリンパスは今後3年間で内視鏡事業の6パーセント成長を目標としています。
AI(人工知能)を活用した内視鏡診断支援ソフトウェアを展開し、経験の浅い医師でも的確に診断できるシステムを開発中です。
また、新興国市場への展開を加速し、世界中の医療現場で内視鏡を普及させる活動を続けています。
オリンパスは早期発見と低侵襲治療をさらに世界で広めるべく、取り組みを継続しています。
まとめ|オリンパスのブランディング手法から自社のマーケティングに活かすために
オリンパスは内視鏡というニッチ市場に集中し、世界シェア7割を獲得しました。
▼本記事のポイント
- 顧客ニーズを製品開発に反映する仕組みを作った
- ニッチ市場に経営資源を集中して競合優位性を確立した
- 長期的な信頼関係を築く営業スタイルを貫いた
これらのポイントを押さえて、自社のマーケティング戦略を見直してみてください。
ブランド力強化や事業成長を実現したい企業様は、ぜひメグダイにご相談ください。
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