実は、梱包方法の見直しや配送業者との契約条件の交渉だけで、年間数十万円から数百万円の送料削減が可能になるケースも珍しくありません。]

▼今回の記事でわかることは・・・

本記事では、EC事業者や通販事業者が送料負担を軽減し、利益率を改善するための具体的な方法を、即効性のある施策から中長期的な取り組みまで体系的に紹介します。

送料削減や物流コストの最適化でお悩みの企業様は、ぜひ一度ご相談ください。 弊社では、物流改善のコンサルティングも含め、費用対効果の高いマーケティング施策をご提案しております。

今日からできる送料を抑える方法

送料削減は利益率に直結する重要な課題です。

特にEC事業や通販事業では送料が売上の10〜15%を占めることもあり、わずかな改善でも大きな効果が期待できます。

ここでは、特別な契約や設備投資なしに今日から実践できる即効性のある方法を紹介します。

梱包材を見直してサイズダウンする

梱包サイズを1サイズ小さくするだけで、1個あたり100〜200円の送料削減が可能です。

その理由は、配送料金がサイズ(3辺の合計)と重量で決まるためです。

梱包サイズの縮小により輸送時の積載率が向上し、1度により多くの商品を輸送できるようになります。

商品に合わせた専用サイズの箱を用意し、緩衝材を最小限に抑えることで、送料区分を1つ下げられるケースが多くなるでしょう。

メール便・ネコポスなど低価格配送を活用する

メール便やネコポスを活用すると、通常の宅配便より1個あたり300〜500円安くなります。

低価格配送サービスは厚さや重さに制限があるものの、送料を大幅に削減できます。

取り扱う商品の種類や数量によって宅配便とメール便を使い分けることで、総合的に費用対効果が高いサービス運用が可能になります。

ただし、追跡機能や補償内容が通常便と異なる場合があるため、商品特性に合わせた使い分けが重要です。

商品の同梱発送で1件あたりの送料を減らす

複数商品の同梱発送により、1商品あたりの送料を30〜50%削減できます。

同じ顧客への複数注文を1つの箱にまとめることで、配送回数を減らせるためです。

同一日に同じ顧客から複数の注文があった場合、自動的に同梱する仕組みを構築すれば、送料だけでなく梱包作業の手間も削減できるでしょう。

例えば、Amazonの定期おトク便では、同じ配送日に複数商品をまとめることで割引率が最大15%まで上がる仕組みを採用しています。

購入時に「同梱可能」と明示することで、顧客側も複数購入のメリットを感じやすくなります。

送料を抑える方法を実践する際の具体的な手順

送料削減の方法を理解しても、実際にどう進めればよいか迷う事業者は多いものです。

送料設定を誤ると赤字になってしまうため、配送コストの平均値や競合の送料設定を確認してから、自社の送料を設定することが重要です。

ここでは、送料削減を確実に実行するための具体的な手順を解説します。

梱包サイズ別の配送料金を比較して最安を選ぶ

配送業者によって同じサイズでも料金が100〜300円異なるケースがあります。

配送料金は業者ごとに異なる料金体系を採用しているためです。

以下は主要配送業者の関東から関西への配送料金例です。

サイズ	ヤマト運輸	佐川急便	日本郵便
60サイズ	1,040円	770円	970円
80サイズ	1,260円	1,045円	1,200円
100サイズ	1,500円	1,386円	1,440円
120サイズ	1,740円	1,672円	1,690円

特に60サイズでは最大270円の差があるため、年間1,000個発送すれば27万円の削減になります。

自社の主要発送サイズと配送先エリアで料金シミュレーションを行い、最適な業者を選択しましょう。

メール便・ネコポスが使える商品条件を確認する

メール便やネコポスの活用で、通常配送より300〜700円の削減が可能です。

低価格配送サービスには明確なサイズ・重量制限があり、これを理解することが送料削減の鍵になります。

以下は主要な低価格配送サービスの詳細条件です。

サービス名	厚さ制限	重量制限	サイズ制限	料金目安	追跡
ネコポス	3cm以内	1kg以内	A4サイズ	385円	あり
クリックポスト	3cm以内	1kg以内	A4サイズ	185円	あり
ゆうパケット	3cm以内	1kg以内	A4サイズ	250円〜	あり
レターパックライト	3cm以内	4kg以内	A4サイズ	370円	あり

自社商品のサイズと重量を測定し、どの商品が対応可能かをリスト化することで、送料削減の対象商品を明確にできます。

梱包方法を工夫して厚さを3cm以内に収めることで、対象商品を増やせる可能性があるでしょう。

同梱発送のルールを設定して顧客に案内する

明確な同梱ルールの設定により、顧客の追加購入率が15〜25%向上します。

顧客が同梱メリットを理解することで、購入点数の増加が期待できるためです。

効果的な同梱ルールの設定例は以下の通りです。

▼同梱ルール設定パターン

• 時間制限型：注文日から24時間以内の追加注文は自動的に同梱
• 送料優遇型：同梱の場合は送料が半額、または2点目以降送料無料
• 日時指定型：毎週火曜・金曜の発送日に自動的にまとめて発送
• 金額条件型：合計5,000円以上で同梱送料無料

これらのルールを商品ページ、カート画面、注文確認メールに明記し、顧客に分かりやすく伝えることが重要です。

例えば、Amazonの定期おトク便では、同じ配送日に複数商品をまとめることで割引率が最大15%まで上がる仕組みを採用しています。

同梱ルールの自動化により、スタッフの判断負荷も軽減できます。

中長期で送料を抑える具体的な方法

即効性のある施策で一定の効果が出たら、次は中長期的な取り組みで送料をさらに削減できます。

配送会社と法人契約を結ぶと、割引料金でサービスを利用できたり、一括割引を受けられたりするため、送料削減や物流コスト削減に役立ちます。

ここでは、より大きな削減効果が期待できる中長期的な方法を紹介します。

配送業者との契約条件を見直し交渉する

法人契約により、通常料金から10〜30%の割引を受けることが可能です。

配送業者は一定以上の出荷量がある法人顧客に対して、割引料金を適用するためです。

運送会社と法人契約を交わすことで、送料が安くなるだけでなく、定期的な集荷サービスや伝票印刷システムの利用など、様々なメリットが得られます。

まずは現在の月間出荷数を集計し、複数の配送業者の営業担当に見積もりを依頼しましょう。

交渉時には他社の見積もりを提示することで、より有利な条件を引き出せる可能性があります。

複数の配送業者を使い分けて最安値を選ぶ

商品特性や配送先に応じて複数業者を使い分けることで、5〜15%の追加削減が可能です。

配送業者ごとに得意なサイズ帯や地域が異なるためです。

大型商品は福山通運、小型商品は日本郵便、急ぎの商品はヤマト運輸など、用途に応じて最適な業者を使い分けることで、顧客満足度とコストパフォーマンスの両立が実現できます。

複数社と契約することで価格交渉もしやすくなり、配送トラブル時のリスクヘッジにもなるでしょう。

さらに送料を抑えるための発送オペレーション改善

送料削減の最終段階として、発送オペレーション全体の改善に取り組むと効果的です。

配送効率の改善を目的としてルート最適化システムを導入し、自社便の積載率を向上させた結果、積載効率が10%アップし、年間の運賃を10%削減する成果を上げた企業があります。

ここでは、発送業務の効率化による送料削減の方法を紹介します。

発送代行サービスで大口割引を活用する

発送代行サービスの利用により、1件あたり200〜300円の送料削減が期待できます。

発送代行業者は大量の荷物を取り扱うため、配送業者から大口割引を受けているためです。

発送代行業者の効率的なシステムと大量発送による割引により、発送コストが1件あたり700円から500円に減少し、年間400万円の節約を達成した事例があります。

ただし、基本料金や保管費用などを含めた総コストを比較し、自社の出荷量で採算が合うかを慎重に検討する必要があるでしょう。

倉庫立地を見直して配送距離を短縮する

顧客が集中する地域に倉庫を配置することで、配送料金を10〜20%削減できます。

配送料金は距離に比例して高くなるため、配送距離の短縮が直接的なコスト削減につながります。

顧客データを分析し、注文が多い地域を特定することで、最適な倉庫立地を判断できます。

複数拠点を持つことで配送スピードも向上し、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。

まとめ発送の仕組みで1件あたりの送料を下げる

出荷日を週2〜3回に集約することで、出荷作業の効率化と送料削減を両立できます。

配送業者との交渉で、定期的なまとめ発送に対する割引を受けられる可能性があるためです。

ただし、配送スピードが顧客満足度に影響する業種では、配送遅延によるデメリットも考慮する必要があります。

「通常配送」と「お急ぎ便」を用意し、顧客に選択肢を提供することで、両立が可能になるでしょう。

送料を抑えて利益と競争力を両立させるために

送料削減は単なるコストカットではなく、事業の競争力を高める重要な戦略です。

調査によると、EC利用者の54.2%が商品価格以外の料金(送料など)を重視しており、高すぎる追加費用が、カゴ落ちの主要な原因(48%)であることが示されています。

適切な送料設定は顧客満足度の向上と利益確保の両立を可能にします。

本記事で紹介した即効性のある施策から着手し、段階的に中長期的な改善に取り組むことで、年間数十万円から数百万円規模の送料削減が実現できるでしょう。

梱包方法の見直し、配送業者との契約交渉、発送代行サービスの活用、倉庫立地の最適化など、自社の状況に合わせた最適な組み合わせを見つけることが重要です。

送料削減により生まれた利益を商品開発やマーケティングに再投資することで、事業全体の成長につなげることができます。