厚生労働省の令和5年雇用動向調査では、日本の離職率は15.4%に達しています。
さらに2024年にエン・ジャパンが実施した調査では、退職者の54%が会社に本当の退職理由を伝えていないことが明らかになりました。
本音を把握できない企業は、一人あたり平均93.6万円から103.3万円の採用コストを無駄にし続けているのです。
▼本記事でわかること
・2024年最新データで見る退職理由の本音ランキングTOP5
・「一身上の都合」に隠された退職の真実と企業の損失額
・データに基づく離職率削減の具体的施策
退職理由の本音を正確に把握することで、組織の生産性向上と採用コストの大幅削減が実現できます。
経営者・人事担当者として、最後まで読んで自社の課題を見直してください。
組織課題の解決には、データに基づいた戦略的なアプローチが不可欠です。
目次
退職理由の本音ランキングTOP5【2025年最新データ】
退職理由の本音を知ることは、離職防止の第一歩です。
エン・ジャパンが2024年に実施した調査では、退職経験者5,168名から回答を得ました。
調査の結果、54%の退職者が会社に本当の理由を伝えていないことが判明しています。
本音を隠す理由として最も多かったのは「話しても理解してもらえないと思ったから」で46%を占めました。
▼退職理由の本音ランキングTOP5【2025年最新データ】・1位:人間関係の悩み|数値で見る職場コミュニケーションの実態・2位:給与・待遇への不満|市場価値とのギャップ・3位:キャリアアップの機会不足|成長環境の重要性・4位:長時間労働・残業過多|働き方改革の現在地・5位:会社の将来性への不安|経営透明性の欠如
1位:人間関係の悩み|数値で見る職場コミュニケーションの実態
人間関係が退職理由の第1位となっています。
エン・ジャパンの調査では、会社に伝えなかった本当の退職理由として人間関係が悪いが46%で最多でした。
上司とのコミュニケーション不全、同僚との軋轢、パワーハラスメントなどが主な要因です。
厚生労働省の令和5年若年者雇用実態調査でも「人間関係がよくなかった」が26.4%を占めています。
2位:給与・待遇への不満|市場価値とのギャップ
給与・待遇への不満は、退職理由の主要因の一つです。
同業他社や市場相場と比較して給与水準が低い場合、優秀な人材の流出は避けられません。
特に若手社員は転職市場での自身の市場価値を常に意識しており、適正な評価を求めています。
給与だけでなく、福利厚生、賞与、昇給制度なども総合的に評価されるのです。
3位:キャリアアップの機会不足|成長環境の重要性
キャリアアップの機会不足は、特に20代から30代の若手社員の退職理由として多く挙げられます。
現代の労働者は給与だけでなく、自身のスキルアップやキャリア形成を重視しています。
研修制度の不備、明確なキャリアパスの欠如、新しい業務への挑戦機会がないことが主な不満となります。
成長を実感できない環境では、優秀な人材ほど早期に転職を決断するのです。
4位:長時間労働・残業過多|働き方改革の現在地
長時間労働や残業過多は、退職理由の重要な要因です。
厚生労働省のデータでは、一般労働者の月平均残業時間は13.8時間となっています。
働き方改革が進む中、ワークライフバランスを重視する価値観が広がっています。
長時間労働は従業員の健康を損なうだけでなく、生産性の低下も招きます。
5位:会社の将来性への不安|経営透明性の欠如
会社の将来性への不安は、退職理由の上位に入っています。
経営状況の悪化、業績の低迷、事業の方向性への疑問などが主な要因となります。
特に経営層と現場との情報共有が不足している企業では、従業員の不安が高まります。
経営ビジョンが不明確な企業からは、優秀な人材が先に離れていく傾向があるのです。
「一身上の都合」に隠された退職の真実
「一身上の都合」という退職理由には、多くの本音が隠されています。
エン・ジャパンの調査では、会社に伝えた退職理由の第1位は「別の職種にチャレンジしたい」で22%でした。
しかし本当の退職理由では同じ項目が第9位の6%にまで下がっています。
この事実は、企業と従業員の間に大きなコミュニケーションギャップがあることを示しています。
▼「一身上の都合」に隠された退職の真実・なぜ優秀な人材ほど本音を言わないのか?・建前と本音のギャップが生む組織の損失・企業が見逃している退職の前兆サイン
なぜ優秀な人材ほど本音を言わないのか?
優秀な人材ほど、退職理由の本音を伝えない傾向があります。
円満退職を望むこと、同業界でのネットワークを維持したいこと、退職後のトラブルを避けたいことが理由です。
会社への不満を正直に伝えても改善されないという諦めも、本音を隠す要因となっています。
結果として企業は本当の問題を把握できず、同じ理由での退職が繰り返されるのです。
建前と本音のギャップが生む組織の損失
建前と本音のギャップは、企業に大きな損失をもたらします。
リクルートの就職白書2020によると、一人の社員を採用するコストは新卒で93.6万円、中途で103.3万円です。
さらに育成コストを含めると、年収の50%から200%に達すると言われています。
本当の退職理由を把握できなければ、同じ問題が繰り返され、採用コストが無駄になり続けます。
企業が見逃している退職の前兆サイン
退職には必ず前兆サインがあります。
急に有給休暇を使い始める、業務への積極性が低下する、会議での発言が減るなどの変化が見られます。
管理職がこれらのサインを見逃すと、優秀な人材の流出を防げません。
定期的な1on1ミーティングや従業員エンゲージメント調査を実施することで、早期に問題を発見できます。
データが示す「まともな人が突然辞める」パターン
「まともな人が突然辞める」という現象には、明確なパターンがあります。
多くの場合、退職の決断は突然ではなく、長期間の不満の蓄積の結果です。
しかし企業側がそのサインに気づかないため、突然の退職に見えてしまうのです。
▼データが示す「まともな人が突然辞める」パターン・面接で確認すべき退職理由の整合性・退職理由から導く離職防止マーケティング戦略
面接で確認すべき退職理由の整合性
中途採用の面接では、退職理由の整合性を確認することが重要です。
前職の退職理由と応募者のキャリアビジョンに矛盾がないかをチェックする必要があります。
給与を理由に退職したと言いながら、給与条件が前職と変わらない場合は別の理由がある可能性があります。
深掘りした質問により本当の退職理由を見極めることで、自社でも同じ問題が起こらないか判断できます。
退職理由から導く離職防止マーケティング戦略
退職理由の分析は、離職防止のマーケティング戦略に活用できます。
従業員を「顧客」として捉え、彼らのニーズや不満を分析することで効果的な施策が見えてきます。
人間関係の問題が多ければコミュニケーション施策を、給与不満が多ければ報酬体系の見直しを行います。
データドリブンなアプローチにより、的確な改善施策を実施できるのです。
退職理由分析で離職率30%削減を実現した企業事例
実際に退職理由の分析から離職率を大幅に削減した企業事例があります。
ある製造業では退職者への丁寧なヒアリングを実施し、本音の退職理由を収集しました。
その結果、評価制度の不透明さとキャリアパスの不明確さが主な原因であることが判明しました。
▼退職理由分析で離職率30%削減を実現した企業事例
- 従業員エンゲージメント向上施策の設計法
- データドリブンな人事施策の構築手法
従業員エンゲージメント向上施策の設計法
従業員エンゲージメントの向上は、離職防止の核心です。
CEB社の調査では、エンゲージメントが高い従業員の離職率は1.2%であるのに対し、エンゲージメントが低い従業員の離職率は9.2%でした。
エンゲージメント調査を定期的に実施し、従業員の満足度や不満を可視化することが第一歩となります。
1on1ミーティングの充実、キャリア面談の実施、評価制度の透明化などが効果的な施策です。
データドリブンな人事施策の構築手法
データドリブンな人事施策とは、感覚ではなくデータに基づいて意思決定を行うことです。
離職率、在籍年数、部署別の退職者数などのデータを定期的に分析します。
どの部署で、どの年代で、どんな理由での退職が多いかを把握することでピンポイントな施策が可能になります。
例えば若手社員の離職が多い部署には、メンター制度を導入するなどデータに基づく対策を講じます。
まとめ|退職理由の分析が組織力を高める
退職理由の本音を把握し、適切な対策を講じることで離職率は確実に改善できます。
2024年の最新データが示すように、退職者の54%が本音を伝えていない現状があります。
人間関係、給与、キャリア、労働時間、会社の将来性という5つの主要な退職理由に対して、データに基づく具体的な施策を実施することが重要です。
従業員エンゲージメントの向上、評価制度の透明化、キャリアパスの明確化など、一つひとつの施策が組織力の向上につながります。
退職理由の分析は単なるコスト削減ではなく、強い組織づくりへの投資なのです。
今日から自社の離職率データを見直し、従業員の声に耳を傾けてください。
組織課題の解決には、マーケティングの視点が不可欠です。
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